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2005/01/14

ザ・年賀状 2

前回のブログで、「年賀状」の始まりは明治時代、
という話を書いた。書いてから、文学作品上では、
いつ頃の作品で初めて使われたのか気になった。

こういう時に便利なのが「日本国語大辞典」(小学館)
である。この辞書を引くと、「文学作品で初めてその言葉が
使われた」用例が挙げられている。いわゆる「初出(しょしゅつ)
用例」の掲載、ということ。学校や地方自治体の大きい
図書館にはたいてい置いてある。また、高額だが、
CD-ROMも販売されているので、家で自分ですぐ
調べることもできる。

「年賀状」の項目を調べてみると、徳富蘆花の『不如帰』
(ほととぎす)が初出、ということだった。調べてみると、
正月に届いた年賀状を主人公が読んでいる、という
使われ方をしている。

蘆花は1868年(明治元年)生まれ。『不如帰』は、1899
(明治31年)に新聞連載され、彼の出世作になった
小説である。だから、日本ではこの作品に「年賀状」と
いう言葉が初めて出てくる、ということになる。

その当時は新聞を読むような家庭はまだ限定されて
いたはずである。『不如帰』の舞台となる家庭も、
当時の上流階級、海軍少尉の家だった。

小説の設定は実際より数年前だから、明治20年代の
後半には、上流家庭では年賀状を交換するのが一般化
していたのだろう。

ただ、その頃は女性の地位は今よりもずっと低かった
から、女性単独で年賀状を出すなどということは
なかっただろうし、夫婦別姓なんて考えられも
しないことだった。
 
また、塩月弥生子さんの本でも、「夫婦別姓の
場合の年賀状」というのは特に触れていない。
この世代の方々にとっては、夫婦別姓というのは
別天地のような世界のことだろう。

時代と共におつきあいのマナーは変わっていく。
夫婦別姓以外にも、「年賀状をもらった人に、
面倒くさいのでメールで返す」というのも問題に
なってくるかもしれない。これも、郵便をもらって
いるのだから、郵便で返さないというのは失礼に
なるのではないだろうか。

マナーはめんどくさい、難しい、という声も聞く。
でも、「相手の気持ちをよく考える」「自分がされて
いやなことはしない」などという、マナー以前の
人間的な思いやりがあり、そして、この原則を
いつでも貫くことができれば、いつの時代でも、
おつきあいにまつわる問題は、結構クリア
できるのではないだろうか。

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コメント

こんにちは。先日トラックバックさせていただきました。

「ただ、その頃は女性の地位は」の段落についてひとつだけ。女性の地位にしろ、女性単独で年賀状にしろ、おそらく正しいと信じています。

しかし「その頃」とは明治20年後半を指しているのだと推測しますが、当時は明治政府が全国民に夫婦別姓を命じていた時代です。「夫婦別姓なんて考えられもしないことだった」には語弊があるように感じます。ただし、あの時代に夫婦別姓強制は支持されなかったようですが。

参考:法務省「我が国における氏の制度の変遷」
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36-02.html

投稿: 夫婦別姓を待つ身 | 2005/01/15 13:19

少し補足します。
「夫婦別姓なんて考えられもしないことだった」について、当時の国民が夫婦別姓制度を許容できなかったという意図で書かれたのであれば同意いたします。ただ、夫婦の氏は最初から同姓しかなく、別姓という制度が存在しなかったかのように誤読される懸念があると感じました。
思い過ごしかもしれません。失礼しました。

投稿: 夫婦別姓を待つ身 | 2005/01/15 13:52

コメントありがとうございます。

夫婦別姓については昔少し
調べたこともあったのですが、
なにぶん至らず、ご指摘いただいて
恐縮しています。どうもありがとう
ございました。

夫婦別姓について、個人的には、
「早く選べるようになってほしい」と
思っています。現行法では、
女性の社会進出の実態にそぐわず、
不利益を被る方が多すぎますので。

投稿: つきのみどり | 2005/01/15 19:28

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