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2005/03/16

ミスマッチを防ぐためにできること

3/8付のblog「多くの人のまなざし 教育で必要なもの」を
書いてからおよそ1週間が過ぎたが、こんな記事を見つけた。

東京都の公立中学校の団体が、「私立中学校が
すぐ生徒を退学させるので、転入生徒が増えて
困っている」と苦情を申し出た、というもの。

子どもが減っているのに、(特に首都圏では)私立
中学に進学する子どもは年々増えている。つまり、
今まで私立校と縁がなかった家庭の子どもも行く
ようになっている。

3/8の記事(「教育」カテゴリーに格納済)でも書いた
のだが、今の私立校は、イメージアップ作戦のため、
「生徒の質の維持」に神経を尖らせている。だから、
「素行に問題あり」となると、早い段階で退学させ
られてしまう。

私立校志向の子が増えていて、しかも以前と違う
家庭の子どもが行っていれば、ミスマッチからの
退学者が増えるのも、ある種やむを得ないだろう。

これは、たいていは生徒や保護者に問題がある
ゆえに起こることなのだが、「私立校の教員の
視野の狭さ」から起こることも実はかなりある。

私立校の教員は、繰り返し私がメルマガやblogで
書いているが、普通は転勤もなく、企業と違って
部署内の移動もない。一箇所でずっと内側ばかり
見ているので、よほど自戒していないと、「自分たちの
常識=世界の常識」と思っている率が高くなって
しまう。しかも、その常識たるや、ひからびて埃っぽく
なっている、現在のスピードの速い世の中とは
ズレまくっているものもある。

だから、情報開示なども、ないのが当然だと思って
いる教員も珍しくない。校則のことや学校として
守ってほしいことなどを、入学前にあまり言わず、
入学してからあれこれ言うのもいまだにある話。

入学前に抱いていたイメージと実態に、大きな
ギャップがあれば、「こんなはずじゃなかった!!」と
ショックを受けるだろう。思春期の子どもにとっては
そのショックが大きいと、学校に行けなくなることも
珍しくない。

そういうミスマッチをなるべく防ぐには、どうしたら
良いのだろうか。私なりに考えてみたい。

【保護者・子どもに求められること】
・学校を偏差値だけで選ばない。校風、歴史、
在校生の話などを全てリサーチする。校則、必要な
学費などについては、学校説明会でどのようなものか、
全て開示するよう要求する。

・塾だけに学校の情報を頼らない。今は中学受験は
塾主導だが、一面的な情報しか入っていない恐れも
ある。穏やかに情報交換をしているBBSもあるので、
そういったツールもどんどん利用する。

【私立校に求められること】
・「このようなことをしたら退学処分もある」と、説明会
などで明示する。基準を示しておかないと、行き
過ぎた懲罰として退学処分が乱用されるようになり、
子どもは学校にびくびくして通うようになってしまう。
基準として考えられるのは、喫煙・万引き・学校内
での盗難などの非行行為、友だちに対するいじめ、
協調性に著しく欠ける行動など。

【各都道府県の教育委員会に求められること】
・各私立中学校に、公立中学校への「退学者の人数・
時期・理由」を毎年必ず報告させる。数字があまりにも
多い学校は、行き過ぎた指導をしている恐れがある
ので、学校ごとの数字を把握する。また、公立中学にも
同様の数字を報告させる。数字に相違がある場合、
双方に問いただす。

・監督官庁としての責任を果たす。具体的には、「私立
校の教育相談所」を必ず設ける。各私立校で、重大な
人権侵害や常識に欠ける教育が行なわれている場合、
この機関が間に入って仲裁などできるようにする。

あまり知られていないが、私立校には公立校でいう
ところの「教育委員会」にあたる組織がない。だから、
内部で想像を絶する「非常識行為」が行なわれて
いても、上層部が握りつぶせば、外部には話が
漏れない。私の見聞きする話だけでも、生徒に対して
ひどいこと、教員同士でのひどいことなどあちこちに
いやという程転がっている。

でも、教育という公共性の高いものを担うのだから、
このような状況は許されないのではないだろうか。
同じようなひどい目にあっても、高いお金を払って、
選んで入った私立校で握りつぶされ、公立校なら
白日の下にさらされる、という違いが存在している
のは、私には大きな矛盾に見える。お金を払って
来てもらっているからこそ、公明正大な主義主張の
もと、教育をすべきなのではないだろうか。

4月になれば、各学校では真新しい制服に身を包み、
期待でいっぱいの新入生を迎える。ひとりひとりに
とって、その期待があっという間に消えてしまわぬ
ような、「希望の春」であってほしい。

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コメント

はじめまして、州と申します。
よろしくお願い致します。

先ほど毎日新聞で私学協会の近藤会長が

>「そもそも公立がしっかりした教育をしていれ>ば、私立に来る人はいないのではないか」と語>った。

と、記事が掲載されていましたが、なんとなく違和感を感じるコメントでした。僕は現在住んでいる場所柄、また職業柄、私立高校に行く親御さんと話す機会がありますが、

「公立がしっかりした教育をしていないので、私立に行く」

と仰る方が9割以上です。教育内容だけでなく、セキュリティの問題など、最近では、学校選びも、昔の「名前だけ」や「偏差値が高いところ」というものより、幅がでてきたような気がします。まあ、これは、あくまでも「アメリカ」の話ですので、日本ではまた事情が違うでしょう。

教育は「設備投資」
学校選びは「銘柄選び」
なんて言い方があります。

人によって全く違う反応が返ってくる言い方ですが、僕はある意味、真理をついていると思います。

長々と失礼致しました。

投稿: Kuni | 2005/03/18 12:08

州さん、はじめまして。アクセス
ありがとうございます。

毎日新聞の記事は、私も今朝webで
見たのですが、やはり違和感を
覚えました。責任転嫁をして
いるようでイヤですね。

学校選びは「銘柄選び」、私も
ある種真実をついていると
思いました。株は、今後
期待できる銘柄だから
投資するわけですし、
学校も卒業後の伸びを期待して
通うわけですよね。

また機会がありましたらお立ち寄り
下さいね。

投稿: つきのみどり | 2005/03/18 18:46

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