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2005/03/11

おいしくて安全な食べ物

東京郊外のサラリーマン家庭育ちの私にとって、
田んぼや畑は家と家との間に見るものではあったが、
自分で入って何かを育てる、というものではなかった。

そんな私だが、成長して、特に家庭を持つようになると、
食べ物の産地、安全性などにも気をつけるようになる。
実家では母がいろいろ気を配ってくれていたので、
それに私なりにプラスαして考えるようになった、という
のが実態。

食べ物が、産地から、どういう経路を通ってくるのか、
ということを考えさせられたいちばんのきっかけは、
かつてJAの金融部門に勤めていた友人のひとことだった。
ひとり暮らしを始めた彼女に、「お米はどこで買うの」と
尋ねたところ、返ってきたのは想像もしていなかった
言葉だったのだ。

「私ね、お米は農家から直接買ってるの。だって、JAを
通すと、おいしいのもそうでないのもごちゃ混ぜにされる
んだよ。だから、通さない方が、安全でおいしいのが
食べられるよ」

JA、つまり農協を通さない方が安全でおいしい?私に
とっては初めて聞く言葉だった。それ以後、心の片隅で
この言葉がずっと息づいていく。

その後の私の人生で、その言葉に納得する場面に
いくつも出くわすことになる。

ある時、ここの牧場の代表の方が、ラジオでこのような
趣旨のことを言われていた。「牛乳も、今の制度下では、
良い品質の物も悪い品質のものも農協で一緒にされて
しまう。だから、せっかく良いものを作っても、そのままの
品質で消費者に届けるには、独自のルートを開拓する
しかない。」

野菜や果物だけじゃない、酪農家も同じなんだ!ラジオで
聞く前から、この方の作った牛乳を、私は週1回、
お気に入りのパン屋で買うのをとても楽しみにしていた。
濃くて、香りが良く、牛乳のうまみがぎゅっ、と詰まって
いる味。他では絶対買うことのできない味。お話を聞いて
からは、エールの意味もこめて、毎回、牛乳をありがたく、
そしておいしく、いただくようにしている。

他にも、この方同様、孤高を保って努力している酪農家を
TVで見たことがある。そこで見たなんとも信じがたい話
だったのは、このように「独自に頑張っている」方は、他の
「あまり良くない品質のものでも平気で出荷している」
農家から見ると、大変なプレッシャーらしく、有形無形の
圧力がかけられてくるのだという。JAで預金をさせて
くれないといったことに始まり、果ては、子どもの通う
学校にも及び、「○○さんちの子どもとは付き合うな」と親が
子どもの友だちづきあいにも口出しをするのだそうだ!!

こういった、まさに現代版「村八分」に、日本の農業の
悪い面が縮図となって現れていると、この頃実感している。

たいした努力をしていなくても、農協に出荷すれば
ごちゃまぜになるから関係ない。そういう人にとっては、
突出して、日夜努力をしている人は目障りであり、
自分が楽していることを否定する存在以外の何者
でもない。そして、そういう、「おいしくて安全な
食べ物を作る」という、本来の農家のあり方に
立ち返っている人を、逆に邪魔者として追い落とそうと
する…。なんという、ゆがんだ、腐りきった構図なのだろう。

牛乳だけではない。私は、おいしい果物や野菜を
このお店からネットで買うことがあるが、ここの社長さんも、
「おいしくて安全な食べものを家庭に」と、世界を
飛び回って頑張っている。やはり、ここと取引している
農家の中には、「おいしいものを作っていたら村八分に
なった」という方がいると、以前webで読んだ記憶がある。

日本の馴れ合い体質が弊害を生んでいる場面は、
農業に限ったことではないのかもしれない。でも、
今はインターネットがある。「おいしい食べ物を作って
います!」、「おいしい食べ物を買いたいです!」という
メッセージを、作り手と消費者、それぞれが発信
できる。独自においしいものを作っている人がいて、
それを受け入れている人がいて、その動きが次第に
大きくなれば、「良いものも悪いものもごちゃまぜ
だから楽」なんていうことを言っていられなくなる
のではないか。

農水相の諮問機関で、2007年度から、「強い農家に
所得補償」されることがとりまとめられたという記事を見た。
しかし、これはまだまだ「予算のばらまき」になる
可能性もはらんでいるらしい。

でも、都会の一消費者としては、これからも「おいしくて
安全な食べ物を食べたい!」ということをアピールし、
そういう品物を買い続けたい。そして、そのことで、
悪い品質のものを作って平気でいる人に、考えを変えて
もらう動機にしてもらわねばならない。

私はそういう信念を持って、これからもおいしくて安全な
牛乳と野菜を買い続け、日本の農業、そして日本全体に、
小さくても風穴を開けたい。

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コメント

またまた難しい問題。純粋培養のような環境で生きられるはずもなく、子供たちには免疫力がなければと思う。それに品質のいいものは高い。限られた収入の中で、何に投資するかは人それぞれ。
貯蓄?健康?住居?教育?レジャー?家庭菜園?土地はどうする?うーん、難しい。とかくこの世は住みにくい。

投稿: イッチー | 2005/03/11 18:17

コメントありがとうございます。

確かに良いものは高いですよね。
私は、近くのお店で買ったり、
送料のお得なところでオンライン
ショッピングをしたり、と、
本体以外の出費をなるべく
抑えるように努力しています。

投稿: つきのみどり | 2005/03/11 18:35

志の高い生産者を応援するには、直で取引きするしかなさそうですね。よし、いっちょ、がんばってみるか! と、財布の中身を覗いてはみたものの……とほほほほ。うっしゃー、しっかり稼がねば!

投稿: みやっ | 2005/03/14 13:02

みやっさん、こんにちは。

志のある生産者の物を
買うには、今のところ、
直接、または「そういう
生産者の物を扱っている
お店」から買うしか
ありません。本当は
そういう構図がおかしい
のですが。

先立つものはお金ですよねー。
お金の亡者になりたくは
ないのですが、しっかり
働かねば買えませんよね!!
お互いに体に気をつけて
頑張りましょう!

投稿: つきのみどり | 2005/03/14 18:23

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