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2005/05/03

中西保志さん 魂のボーカリスト

blog050503

5/2、南青山マンダラでの中西保志さん
ライブに出かけた。

今日はピアノ(キーボード)と中西さんだけ、
といういたってシンプルな構成。今年は1度、
1/22に下北沢で彼のライブを見ているが(※1/23付blog参照。
音楽」カテゴリー内)、その時は「ピアノ・ギター」のバック。
今回は本当に余分なものをそぎ落とした、シンプルで上質な
ライブが見られるのだろうと期待して、連休の谷間、いつもより
すいている青山通りをひた走る。

開場を待つ列に並んだ時に気付いたが、今までの彼の
ライブより、男性客が多い。席に着いて周囲を見渡しても、
明らかに男性の姿が目立つ。ひとりで、友人同士で、
そして、カップルで来ている人。今までは
女性の方が比率としては多かった。これはどういうこと
なのだろうか。そんなことを思いつつ、ライブの開演を待つ。

ピアノは山崎のりまさ氏。山崎氏はピアノ教師でもある
からか、彼のピアノは非常に「端正」な音。ワイルドな音
ではないけれども、聞いていてとても安心できる。聞き手が
安心できるのだから、歌い手はなおさらのことなのだろう。
彼がペダルを踏む時に出す、革靴がステージの木の床を
「コツン、コツン」と叩く音まで、リズミカルで心地よい。
まるで華麗にバレリーナが踊る音のよう。

今回は今までのライブと趣向を変え、第1部をオリジナル
(中西さんの作った歌)、第2部をカバー、という構成で
進んでいく。1部は、まだCD化されておらず、初めて耳に
する歌も多い。

第1部で気に入ったのが、「君の知らない君」。デビューが
20代後半だった中西さん、「フリーター」、「ニート」などの
言葉を聞き、「そんなに慌てることはない、好きなことを
しっかりやっていれば道は開けるよ」というメッセージを
こめて作ったもの。この歌を全国の中学、高校生に向けて
ぜひとも歌ってほしい。「学校キャラバン」でもやって
もらえないだろうか、と聞きながら真剣に思っていた。

第2部で「おやっ!」と驚いたのが2曲。まずは「知床旅情」。
中西さんは昔から好きなのだというが、「この曲を作った
のは誰か知っていますか」という問いかけに、客席(ほぼ
30代後半以上、私は若い部類)の多くが「知らない」と
言うのにはびっくり。クレジットを気にしないで曲を聞くほうが
普通なのだろうか。ピアノを少したしなんだせいもあるから
かもしれないが、どんな曲でもクレジットを見る習性の
ついている私には大変な驚きだった。もちろんこの曲は
森繁久弥さんの手によるもの。

歌は、一瞬、あの「FOLK AID」の時の、加藤登紀子さん
力強い歌声が脳裏をかすめる、素晴らしいものだった。
力強い男性の歌声での「知床旅情」もまた良いものだと
実感。

それから、続いて歌った「恋するカレン」。
(わーい!!)
これは大滝詠一さんの曲だが、私には稲垣潤一さん
おなじみ。稲垣さんのライブでもしばらく「カレン」は聞いて
いない。シルキーボイスの稲垣さんとはまた違う、男の
悲しみが強く出た「カレン」の新しい世界を知る。

その後は中西さんのルーツとも言える、スティービー・
ワンダー「LATELY」、星になって1年になるレイ・
チャールズ「Geogia On My Mind」、そして、ナット・
キング・コール「Stardust」と、名曲が綺羅星のごとく
並ぶ。「知床」、「カレン」からスタンダードまで、これだけの
歌を一度に歌いこなせる人、今の日本のプロの歌手で
いったいどれだけいるのだろうか。

アンコールでは、まず、「最後の雨」。ヒット曲がある多くの
歌手は、その曲名ばかりが一人歩きするので、一時期、
その曲を「歌いたくない」時があると聞いたことがある。
でも、私の記憶にある限り、中西さんがこの曲を歌わ
なかったことは1度もない。聞き手の気持ちをしっかりと
理解している中西さんだと改めて感謝。

ラストは「歓送の歌」(詞・曲:小椋佳氏)。「来てくれて
ありがとう、また来て下さい」という意味なのだろうか。この
曲を聞いていると「あぁ、今日のライブも終わりだ」と思うし、
「またこうして中西さんの歌を聞きに行きたいな」とも思う。

中西さんの歌は、カラオケでよく歌われる。技術が卓越して
いて、魂のこもった中西さんの歌は、多くの同性の心を
がっちりつかんでいるのだろう。そう、まるで伊勢正三さん
ギターのように。異性のファンをつかむより、これは実は
大変なこと。中西さんにとっても同性のファンが増えるのは、
とても嬉しいのではないだろうか。

中西さんもこの日言われていたが、CDを心待ちにしている
ファンはたくさんいる。彼の歌がひとりでも多くの人のもとに
届くよう、web販売など手段を駆使して、事務所は真剣に
彼のCDを売ることを考えてほしい。フルアルバムでなくても、
ミニアルバムでもいい。「最後の雨」2005ヴァージョンの
セルフカバーを入れてもいい。絶対に近いうちにCDを私たち
ファンの前に届けてほしい。

そして、今日のような素晴らしいコンビでのピアノ・ライブも、
絶対また聞いてみたい。そう思いながら、私は、普段よりも
一段と静かな青山通りを、家路へと急いだ。

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