情熱のカタマリ 加藤昌史さん
加藤昌史さんの『拍手という花束のために』
出版記念パーティにうかがった。
加藤氏は、「演劇集団キャラメルボックス」の
主催者。今はシアターアプルで、20周年記念公演の
真っ最中。私も7日の18:00からの「僕のポケットは星でいっぱい」を
見てきた。今回は「ハーフタイムシアター」といって、1時間の公演
なので、忙しい平日でも何とか時間を作れば行けるのがありがたい。
キャラメルボックスの舞台開演直前には、社長じきじきに
「前説」がある。いつも、立て板に水のすばらしいトークを
聞かせてくれるのだが、この日は途中からなんだか少し
おかしいな、という雲行き。(真相は加藤さんの日記、
「加藤の今日」をご参照いただきたい。私はロビーで、
日記に登場する方を見かけている)
まだ公演は続いているので、可能な方はぜひ足を
お運びいただきたいのだけれど、キャラメルボックスの
お芝居を見ていると、「子どもの素直な気持ち」を思い
出させてもらえる、と強く感じる。私のように、子どもと
寄り添う仕事をしていると、子どもの気持ちを常に
考えていかねばならないのだが、それでもかけ離れて
しまって「いけない!」と思い、軌道修正をする時もある。
また、今、日本の多くの学校では週5日制の中で、
勉強の時間を取ることが最優先されている。だから、
文化祭と体育祭を1年交代で行う、とか、文化祭を
中止する、などの動きも珍しくない。都内でも、演劇
鑑賞そのものが実施されない学校もある。でも、一方で
「心の教育」が声高に叫ばれている。この矛盾は何なの
だろう。文化祭や体育祭は健全な心を養う機会では
ないのだろうか。
心の教育、というのなら、キャラメルボックスのお芝居を
子どもと教員が一緒に見るといい。私はそう断言したい。
子どもの気持ちにこれだけ深く、そして丁寧に寄り添って
いる大人の演劇は、劇団の数は綺羅星のごとくある
けれど、そうそう存在しない。キャラメルボックスの脚本は
人気で、各地の学校の演劇部でも上演しているが、
実際にプロの舞台を見て、何かを感じ取る、ということは
大事なこと。こういう機会を作ってやるのも大人の大事な
役目ではないだろうか。
そして、昨日、8日のパーティ。加藤さんはパーティでも、
ご自分が主役なのに、マイクを持ってあちこち動かれて
いた。途中、出版元のロゼッタストーンの編集長の
計らいで、ご家族がやっていらしたのには心底驚いて
いらした様子だった。このお子さん、まだ小さいけれど、
とても礼儀正しくて素直ないい子たち。
全体の内容は、サイン会あり、出席者による擬似記者
会見あり(冒頭写真)、と、普通の出版記念パーティでは
考えられない、楽しいものだった。
また、私は受付の手伝いをしたのだが、キャラメル
ボックスのサポーターの皆さんが、時間や約束事などを
きっちりと守っていらしたのにも感心させられた。
参加費を払うのにも「4500円?じゃあ、この10000円、
崩してくれる」なんて言う方は、誰一人いなかった。
今回は、お時間の一部を割いて、私を含めてロゼッタ
ストーンweb連載陣のご紹介をしていただき、また、
そのおひとりの川島佑介さん(6/22CDデビュー予定)
から、歌のプレゼントもあった(川島さんのお話は
日を改めて)。
最後には、日テレの福澤朗アナウンサーも駆けつけ、
福澤節に大笑いしながらのお開きとなった。
加藤さんは大変お忙しく、また、精神的におつらい
状況の中で、パーティに来て下さった。また、7日の
前説で、「今、僕の本は紀伊国屋書店の1階・新刊
コーナーで平積みにされていますが、ビジネス
コーナーにありました。間違ってますね」とおっしゃった
けれど、これはきっとご謙遜。加藤さんの本には、
プロの、一流の劇団として大事なことがぎっしり
詰まっている。仕事をする全ての人が読むべき、と
いう本だと私は思っている。
こういった加藤昌史さんは、真の劇団経営者、
演劇を愛する人、そして、演劇の情熱の「超一流の」
カタマリ。
こういった方と時間が共有できて、とても幸せなひと時
だった。
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