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2005/07/16

「まるで六文銭のように」 フォークの出発点

blog050716


「まるで六文銭のように」のライブを
見るため、長野県飯山市まで旅に
行ってきた。

「まるで六文銭のように」とは、かつて活動していた
「六文銭」の、小室等さん及川恒平さん、そして、
四角佳子さんのお三方で現在活動している時の
ユニット名。私たちがこの数ヶ月見ているのは、
「猫・文銭」などで、小室さんはいつもご不在だった。

先週「まる六」のお三方は、浦安・イクスピアリでライブを
開いている。でも、仕事が忙しく、行けなかった。

でも、その翌週、飯山市内の寺院で、「まる六」の
ライブがある、と気がついた。

このお寺では、もう10数年、地元の方々が「寺のまち、
野の花コンサート」と銘打ち、小室さんを年1度お呼び
しているのだという。今年はそれが「まる六」としての
ライブ、ということだった。

(本来、こういった催し物に、土地の方以外の者が踏み
込むべきではないのかもしれない。でも、この機会を
逃すと、当分また3人お揃いの「まる六」の歌を聞く
機会に恵まれそうもなかった)。

で、今回、休みを利用して一路長野へ向かった。

渋滞の東京を抜け、関越道から長野へ向かう。途中、
横川のPAでひと休み。ここを越えると、いよいよ長野県。

長野県、と言っても、横川を越えてすぐの軽井沢とは違い、
まだまだ奥へとひた走る。平日で、上信越道もすいて
いるのがありがたい。

そして、豊田・飯山ICで高速を下り、飯山市内へ。途中
視界に入る、千曲川の流れに目を見張る。東京の多摩川の
流れのように、河川敷には野球場やマンションなど全く
なく、木々の緑が川岸を覆いつくしている。

(これが千曲川なのね…)
私の頭のなかに、五木ひろし「千曲川」の詞とメロディーが
繰り返し浮かぶ。山口洋子さんの詞、猪俣公章さんの
曲は、なんと絶妙にこの川の良さを歌っていたのだろう。

ライブの開かれる西敬寺(さいきょうじ)の場所を確認して、
さらに山道を昇り、ホテルへ。一歩外へ出ると、空気が
ひんやりしている。山の空気。ホテルの玄関で、下を
見下ろし、私は思わず息を飲んだ。

「うわぁ…」
眼下に広がるのは、一面の緑の木々の海、そして、ところ
どころに、霧の湖。こんな光景を見たのは、いつ以来だったの
だろう。涙がこぼれそうになるほど嬉しい。これを見ただけ
でも、来て良かった、と思う。

そして、早めの夕食に舌鼓を打ってから、いざ、西敬寺へ。
このお寺、JR飯山線の飯山駅(長野駅から約45分)近く、
線路脇に立っている。境内へ一歩足を踏み入れると、
美しい緑の木々が広がる。靴を脱ぎ、本堂に上がる。

本堂には年に一度のこの催しを待ちかねた、100人近くの
人々。年代も幅広い。本堂の一段高くなったところに
「ステージ」があり、左右の梁の下に渡したレールに、
ライトが合計4つ、つけられている。ステージ左手には、
3mはあろうかという木とガクアジサイの花が活けられて
いる(後で、この木はヤマボウシ、という小室さんのMCが
ある。ご住職自ら切り出されたのだとか)。なんともシンプル、
でも、思いっきり歌を堪能できる空間。

午後6時半、定刻とほぼ同時に「雨が空から降れば」で
ライブが始まる。何回も聞いているのに、小室さんの
低音が入るだけで、これまた絶妙のハーモニーが生まれる。

私が初めて聞く「私はスパイ」は、別役実さんの戯曲に
合わせて書かれたものだというが、なんとも不思議で、
やっぱりこれは「別役ワールド」へのいざないの歌。

そして、「雨のことば」。おけいさんをあたたかく見守って
いらしただろう小室さんが一緒だと、「♪長い話の後半が 
今 はじまるのでしょう はぐれた日々の重さも…」と
いう歌詞も、「おけいさん、これからも今までの人生の
キャリアを生かして、ご自分のペースで歌い続けて
下さい」と、素直に応援したい気持ちが改めてこみあげる。

「自転車に乗って」で、高田渡さんを追悼し、小室さんの
ソロで「遥かな愛」、そして、「夏・二人で」。シンプルで
美しいメロディとハーモニー、豊かな詞が本堂いっぱいに
流れていく。その歌に集中し、そして歌を楽しむ、町の
方々。

「猫・文銭」の時と違い、「まる六」だと、「仲間の和気
あいあい」という雰囲気ではなく、どことなく「小室さんを
頼りにして寄り添う、及川さんとおけいさん」という感じが
する。

もちろん、今、演奏や歌で頼っている、というわけ
ではないのだけれど、そんな昔の「六文銭」時代の
雰囲気が漂ってくる。明らかに「猫・文銭」の友だち
ムードとは違う。
(それぞれに良さがあり、どちらが良い、悪いという
ことでは決してない。)

(「六文銭」ってこんな雰囲気だったのかもしれない
なぁ…)
六文銭を一度も見たことのなかった私は、ひとり、
そんな想像をしながら聞いていた。

歌の合間に聞こえる、境内を出てすぐ外の、踏切の音。
地元の方々の温かな視線。こうして町の人々が手作りで
ライブを企画し、集まり、歌をじっくり聞いている。これは、
まさに「フォークの出発点」的な姿なのかもしれない。

東京では、ライブハウスは数々あり、コンサートも毎日
どこかで開かれているけれど、こんなに静かで贅沢な
空間に、今の東京では決してお目にかかることは
できないだろう。

ライブは2時間で終わり、町の方から花束贈呈。
初めて、ライブ後に小室さんとお話をできたが、ステージと
同じようにどなたにも穏やかな笑みをたたえて話をされる
お姿に、強い感銘を受ける。

こうして、初めての、お三方揃い踏みの「まる六」体験は、
贅沢で満ち足りたひと時となった。また
このお三方の歌を聞きたいな、そんなことを思いながら、
静寂に包まれた闇の中、西敬寺を後にした。

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コメント

 やっぱりいいライブだったんですねぇ。盛夏間近の匂いがしてくるような印象ですね。僕が客席から音楽業界人の気持を捨てて,始めて観た音楽が「まる六」でした。だから僕の出発点なんです。そして出発点にしてゴールにしようと思ってます。でもゴールはいつも遠くに進んで行ってしまうんですが。小室さんと恒平君は表現者としてこのユニットでは戦っていると思っています。それが猫・文銭とは大きな違い。猫・文銭は戦いではなくブレンドの精神なのかな。これは僕の考えですけど...。どちらにしてもおけいは大きな存在なんですね。そして何でもきちっとしなければ不安な僕と違って,「まる六」の場合は柔らかさの後ろからとてつもなく厳しい緊張感が覗く時があります。そんな時,けっこうゾクゾクするんですね。色んな事を教えてくれる素晴らしい人たちです。いつもまっサラに新しいんですよ...。なにか自分がそこに居て,見たかのように書いてしまいましたけど,きっとこんな風だったんだろうなと。。やっぱり旅の良さは格別ですね。

投稿: tzneyan | 2005/07/16 02:02

tzneyanさん、ありがとうございます。
そう、すばらしいライブでした。

>小室さんと恒平君は表現者としてこの
>ユニットでは戦っていると思っています

確かに、おけいさんを挟まない、
おふたりのじかのやりとりでは、
こんな面もかいま見えました。

>いつもまっサラに新しいんですよ

次に私がライブを見る機会があれば、
新しさを何か発見できるのかも
しれませんね。

なにはともあれ、行って良かった、
そう思わせてくれる土地とライブでした。

投稿: つきのみどり | 2005/07/17 14:31

飯山の「野の花コンサート」・・・楽しめたようですね。

「猫文銭」の時には、演奏されない曲・・「私は月には行かないだろう」や「街と飛行船」など、六文銭の代表曲でもあり名曲です。
小室さんは「What A Wonderful World」や「サーカス」も歌われたんでしょ?

「まる六」は初体験だったんですねぇ!
なんだかClub IKSPIARIにもいらしてたような感覚でいましたよ(笑)
いつか機会があったら小室さんのソロステージも、ぜひ体験してみて下さい。
人の曲なども交えて自由に歌う「小室等の世界」
も優しい風格に包まれて素晴らしいですよ。

今度は、那須野が原ですか?岩見沢ですか?
またお会いしましょう!

投稿: ポォ | 2005/07/17 21:27

ポォさん、ありがとうございます。
そう、意外にも「まる六」初体験でした。

中原中也の詩に曲をつけた
「サーカス」、新鮮でした。
「まる六」の世界ですねぇ。
小室さんのステージも見てみたい
ものです。

次は、那須でも岩見沢でもない予定です
(でも、北海道には行きます。
お分かりでしょうか?)。
次は汐留でお目にかかれますかね?
またよろしくお願いします!

投稿: つきのみどり | 2005/07/18 00:49

遅れましたが那須野が原ハーモニーホール高原の風コンサートの報告を。はじめにまる六登場。引き潮、雨そら、夏二人で、カラッポ、サーカス、面影橋から、街と飛行船、無題の8曲でした。 因幡晃さんは8/24発売の新曲、わかってくださいなど6曲。ソングフォーメモリーズは卒業写真、さよなら、白い冬など6曲。アンコールは出発の歌、翼をください でした。以上2時間10分、それぞれの個性を楽しませていただきました。 帰りは品川までは予定通りでしたが、夜行快速が番線あきを待つ形で午前2時まで出ず、到着も午前10時になりました。 貧乏旅行にはハプニングは付き物ですから。次回はイギリス館、猫アルバム発売ライブですか。 それでは失礼します。

投稿: 浜ちゃん | 2005/07/25 15:47

浜ちゃんさん、レポありがとうございます。
地震の影響で、お帰りは大変でしたね。
お疲れ様でした。

まる六は「サーカス」また歌われたんですね。
中也の詩を授業で扱うことがあったら、ぜひ
「まる六」の曲をかけたいです。

因幡さんは、先月の「猫」の公開録画の
際は、「セミスウィート」(伊勢正三さん
とのコラボ)を歌われていたのを
思い出しました。

「Song for Memories」だと、「Hi-Fi SET」、
「オフコース」、「ふきのとう」の
名曲が聞けるんですね。とても嬉しい
ですよね!

なんだか盛りだくさんなライブで、
とても楽しかったのだろうな、と
感じました。

ではまた、お元気でお目にかかれるのを
楽しみにしています!

投稿: つきのみどり | 2005/07/25 23:41

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