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2005/08/11

つくば科学博と日航機墜落事故

あの夏から、20年目の日がやって来る。

その当時、私は中学生。その年、忘れもしない、8/11は
日曜日だった。一家4人で、つくば市で開かれていた
科学博に出かけた。茨城県へ行くのは生まれて
初めて、車でひたすら3時間近く走り、インターを
下りる。高速の単調な防音壁が一変し、私の目の
前に広がる、初めての土地の風景。

「えーっ?田んぼしかないよ…」
「科学博」へ行くはずなのに、緑の海、田んぼばかりが
広がっている風景を見て、心底驚いた。科学博の
会場は、田んぼの中に突然出現した「未来の館」
だったのだ。

会場では、1日かけて、当時の最先端のパビリオンを
いくつも見て回り、科学の進歩にわくわく胸を躍らせた。
そして、まだ行ったことのないタイの舞踊団の演技を
見て、土地や文化への想像をふくらませた。その頃
既に私は家でパソコン(当時は「マイコン」と言った)を
使って、プログラムを打ち、ゲームやワープロの真似事を
していた。だから、「今使っているものがこんな風に進化
するのかな、大人になったらいろいろ便利になるのかな」
と、思いながら見ていた気がする。

その日は閉館近くまでたっぷり遊び、帰宅したのは深夜、
日付が変わる頃だった。帰りの高速では、完成した
ばかりの両国国技館が、くっきりと闇夜に浮かび上がる
ようにライトアップされていたのを見て、
「見て!新しい国技館、あそこにあるんだね」
と、歓声をあげた。さすがにその日は疲れてすぐ眠った。

翌朝、12日の月曜日。いつもより遅く私が起きると、もう
父はいない。仕事に行ったと母が言う。きょうだいも部活に
出かけた。私は部活がない日で、母とふたりでのんびり
過ごしていた。

そして。いつもより少し遅めの、夕食ができる寸前だった
7:30頃。NHKの7時のニュースを見ていたら、こんな一報が
飛び込んできた。
「夕方6:00、羽田発大阪行きの日本航空123便が、到着
予定時刻の7:00を過ぎても、まだ到着しておりません。
レーダーから機影も消えたままです」

台所の母に私は叫んだ。
「お母さん!JALの飛行機がいなくなったって!!」
その瞬間から、その後の全ての番組が飛んで、日航機
関連のニュースに変わった。私もテレビ画面に釘付けに
なったまま、そばを離れなかった。時間が経つにつれ、
悪い話ばかりが増えて行く。「搭乗名簿には、ハウス食品と、
阪神球団の社長の名前がある」、という話に続き、日付が
変わる頃になって、「歌手の坂本九さんの名前もある」との
話も入ってきた。

見たことのない飛行機の大惨事。小学生の時に見た、
羽田沖墜落とはスケールが違いすぎる。恐ろしい気持ちを
抱え、ひとり、部屋で怖さに押しつぶされそうになりながら、
眠った。

その翌朝。群馬県内、御巣鷹山で機体が発見された。
その後の凄惨さは、私が改めて語るまでもないだろう。

「科学の進歩の素晴らしさの感動」から、私は、一夜にして
「科学が進歩しても、悲惨な事件は起きる」ことを知り、
奈落の底に突き落とされた。思春期の私にとって、
これほど衝撃的なことはなかった。

だから、どこかに私は科学が進歩しても、最終的には
人間の能力が大事、と思う気持ちがあるし、科学の
いたずらな発展を恐ろしいと思う気持ちもある。科学を
過信してはならない、という気持ちも常に持っている
つもりでいる。

両親の実家とも、飛行機で帰省する距離でなかった
私にとって、大阪まで飛行機で行く、というのは当時、
未知の世界だった。でも、大人になり、時間の有効
利用のため、「大阪より遠距離なら飛行機」と決めて
いる私にとって、飛行機に乗るときは、「この便利さは
代えがたい」というありがたさを感じる裏で、「ちゃんと
飛んで下さいね、頼みますよ」という念も送っている。

また、JALに乗るのも、マイルのため、という目的以外に、
「しっかり今の姿をこの目で見ないと、論じることも
できない」という気持ちもひそかに持っている。

あの日から20年。当時生まれた子どもは成人になる。
自分もそんなに生きてきたのか、という感慨がしみじみと
わく。科学博会場以外の土地もだいぶ開発されたのか、
今月にはつくば市民悲願の電車、つくばエクスプレス
開業する。そして、「愛・地球博」の開催。スペース
シャトルで日本人宇宙飛行士が飛ぶことも、既に何人かが
経験している。

こんな風に、科学はあの日から確かに発展してきた。
今年は、あの日から20年目の、2005年の夏。改めて当時の
犠牲者に冥福を改めて祈ると同時に、自分は懸命に
生きていかねばならない、と、強く強く、思う。

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コメント

はじめまして。

コメントとTBをいただきありがとうございました。
あれから20年、という大事な大事なこの日だというのに、またまたトラブルを起こしてしまったJAL。「ハインリッヒの法則」に基づいて本当の大トラブルを起こすその時が刻々と近づいているとしか思えません。
妻子が明日帰省先の九州から飛行機で戻ってくるのですが、ちょっとドキドキですよ。いくらANAに乗せるとはいえ。

トラブル続きだからと言ってJALグループを責めるのは簡単ですが、私たちもあまり人のことばかりは言ってられません。私たちの仕事だって、日常的に小さなヒヤリハットを積み重ねているわけですから。油断しているとそのうち…

投稿: Kinoppi☆ | 2005/08/13 08:21

Kinnopi☆さん、こちらこそコメントと
TBありがとうございます。

>本当の大トラブルを起こすその時が
>刻々と近づいているとしか思えません。

本当ですね。昨日の事故は何かの警告の
ように思えます。

>私たちの仕事だって、日常的に小さな
>ヒヤリハットを積み重ねているわけですから

まさにその通りですね。自戒をこめて
生活しなければならないですね。

ご家族の無事なご到着をお祈りしています。
また良かったらお立ち寄り下さい。

投稿: つきのみどり | 2005/08/13 18:06

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