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2006/01/03

「気ばたらき」の大切さ 『大女将の人育て、商い育て』 

よく行くデパ地下の、「菊乃井」の売り場の
前を通りかかった時、この本を見かけた。

「菊乃井」とは、京都の老舗料亭。その大女将の
書いた本。三代目にあたるご子息は、NHK
「きょうの料理」
などでもおなじみの方。そして、
最近は東京の複数のデパ地下でも、売り場を
見かける。京風のおいしそうな「おばんざい」が
並んでいるのを目にする。

(京都で繁盛していて、東京にも出てくるくらいの
お店、人を上手に育てていなければ、そんなことは
できっこない。大女将の話に、「人を育てる」ヒントが
あるかもね)

そんなことを思いつつ、手にとって帰った。

帰りながら、通勤電車の中で、夢中で読んだ。
お料理のレシピは一切出てこない。本の柱は、
「人を育てる」、「商(あきな)いを育てる」、
このふたつ。

まず、自分がどうやって育てられ、菊乃井に
嫁いだか、という話。大女将は、西陣の帯問屋の
お嬢さんだった。19歳の時に実母がなくなり、
代わりに育ててくれた祖母の口癖は、こんな言葉。

「人がしはることは、自分にでけんことはないと
思うて、せなあかん」。
そう、『明日こそハレルヤ!』の著者、晴留屋さんと
同じようなこと!!

この祖母にお料理や掃除をみっちりと仕込まれた。
その祖母が、嫁ぐ前の大女将にこう言ったという。

「あんたは右も左もなんにもわからへん商売違いの
ところからお嫁に行くわけやから、言われたことを
素直に聞き入れなあかん。経験豊かな仲居さんとか、
お義父(とう)さん、お義母(かあ)さんがいはるわけ
やから、自分の至らんことは注意をしてほしいと
自分から言うぐらいでなかったら、向上せえへんし、
早いこと慣れられへんえ」

この言葉と同じようなことを、小学生の頃、母に
言われたことがある。「注意されたら、ごめんなさい、
もうしません、と言って、直していかなければいけない
のよ。そうでないと、あの人に注意しても意味がない、
と思って、誰も注意してくれなくなるでしょう」

(この言葉は、私が少し大きくなると、「すみません、
以後気をつけます」と言いなさい、に変わった)

この大女将の祖母の言葉は、嫁に行く娘に、という
場合にとどまらず、社会人として基本中の基本
ではないだろうか。

だから、私も、生徒たちが過ちをしでかすと、
「もうしない、という気持ちが大事なんだよ」と言って、
「すみません、もうしません」という言葉を引き出す
よう指導することを心がけている。

さて、大女将は菊乃井に嫁いでから、義父に
スパルタ教育で「料亭に大事なこと、女将に
大事なこと」を叩き込まれていく。

スパルタ、と言っても、星飛雄馬のような「大リーガー
養成ギプス」は出てこない。料亭に大事な経営
哲学、お客をもてなす心構えを仕込まれる。

そのひとつが、「子育て」。「子どもは甘う育てたら
あきまへん、しもたと思うたんでは遅い」。
(そうよ、そうなの!!)
思わずひざを打つ。

このブログやweb連載で繰り返し書いているけれど、
今は「子どもに嫌われたくないから」甘いことしか
言わない保護者や教員が多い。そういう人に
育てられると、その時は楽かもしれないけれど、
大人になって誰かに注意されても、素直に
受け入れることができない。あげくの果てに、
注意したほうを逆恨みするかもしれない。
それは、その人にとってプラスになるのだろうか?
長い目で見たら、絶対マイナスでしかないだろう。

そして、そんな自分勝手な大人ばかりになったら、
世の中住みやすくなるだろうか?社会は乱れるし、
誰も思いやりなど持てなくなるだろう。そのことを
私はとても恐れている。だから、自分も、内心
かわいそうと思っても厳しい指導をすることもある。

だから、特に「人を育てる」の章は、全ての子育て
中の人、そして、教員に読んで欲しい本だと、
心から感じた。私も常に心がけていることが
たくさん詰まっていて、改めて「今書いていること、
考えて行なっていることは間違っていない」と
思わせてくれた。

こうして、大いにうなずきながら、この本を読み終えた。
もちろん、京の老舗料亭らしい風情のあふれる内容も
満載で、その面でも満足した。

この大女将の根っこにあるものは、きっと、
「気ばたらきの大事さ」。「気ばたらき」という言葉は、
気ばたらきのある人、という言い方で使われたりする。
要するに、「機転が利く」ということ。

どんな仕事においても、その仕事なりの「気ばたらき」が
要求されるのではないだろうか。サービス業に限らない。
私たち教員にだって、私たちなりの気の利き方、という
ことが大事。それが身についていなければ、おとなしい
生徒に、二度と立ち上がれないようなダメージを与えて
しまうかもしれないし、やる気のある子に生ぬるい
励まししかできないかもしれない。それではプロの
教員と言えないだろう。

どんなプロにも、その道のプロしかできないことがある
はずで、だからこそそれでお給料を得られているはず
なのだ。去年の日本では、プロのモラルを疑う事件が
後を絶たなかった。こういう人には、「社会人の資格が
あるのですか」、と私はこの本をつきつけて言いたい。

そして、この本に流れる大女将の心を胸に、私も、
「プロとして気づくこと、皆さんに伝えたいこと」を
どんどん発信して行く1年にしたい。

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