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2006/01/16

演劇集団キャラメルボックス『クロノス』横浜公演 愛しい人への想いは、神の心をも動かす

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演劇集団キャラメルボックスの公演
「クロノス」を見に、1/13の夕暮れ、
横浜へと足を運んだ。

場所は、赤坂から移ってきた「横浜BLITZ」。
そう、ライブハウスでの公演。
横浜BLITZは、みなとみらいの一角。ウェディング用
レストランなども同じ敷地にある。

寒い中、社長の加藤さんはじめ、スタッフの皆さんが、
いつものようにきびきびと笑顔で立ち働いていらっしゃる。
この光景を見ただけで、「これこそプロよね!!」と心底、
尊敬してしまう。心ばかりの差し入れをお渡しして、
中に入る。

贅沢な悩みだとはわかっているけれど、このところ
音楽のライブを見に行く時間が多いので、他の
「生=ライブ」ものに行けないのがもどかしい。
クラシック、演劇、ミュージカル、歌舞伎、能楽、
落語…。大学時代には、友達と、亡き柳家小さん
師匠の「時そば」も、まだ前座だった林家いっ平さんの
高座も見た。でも、今、行きたいもの全部に行って
いたら、お金も時間も当然足りなくなる。だから、
この頃は、見に行けないものはテレビやラジオで
楽しむことにしている。

そもそも、『屋根の上のバイオリン弾き』を帝国劇場で
母と見たのが、私の演劇鑑賞の出発点。母がどうしても
見に行きたくて、中学生にもなれば話もわかるだろうと、
私を連れて行ったのがホントのところ。夏休みのうちの
1日だったこの日、森繁久弥さんや上条恒彦さんなど、
そうそうたるメンバーの一流の舞台に圧倒されたことで、
私の「生で見る」ことへの執着心が芽生えたのは
間違いない。

高校生の時には、『レ・ミゼラブル』をやはり帝劇で
母と見た。この時は、感動して涙を流した記憶もある。
バブル期だったからか、客席に小学生も座っていた。
もしかしたら劇団にいる、子役の子たちが勉強に来て
いたのかな?それにしても、自分より小さい子どもの
姿に驚いたのを覚えている。

この2作品、素晴らしい舞台には違いなかったけれど、
ストーリーの関係からだろう、照明がとても暗かった。
劇場に足を一歩踏み入れた母が、「まぁ、暗い!!」と
つぶやき、特に、『レ・ミゼラブル』の時は、「『バイオリン』の
時だって暗かったのに、もっと暗いじゃない」と、驚きの
声をあげた。

劇場からの帰り道、「超一流の内容だけれど、あなたには、
最初にこんな暗い照明の舞台ばかり見せてしまって…
舞台は、普通もっと、こうこうと明るいものよ」と母がしきりに
心配するのを(暗い舞台しか見ていない私は、当然ピンと
こないから)、黙って聞いていた。

この言葉は、私が成長し、別の舞台を、プライベートや
学校行事の一環で生徒と見るようになり、
(あぁ、母のひとことはこういう意味だったのか)
と、やっと実感を持って理解できるようになった。

だから、今回の「クロノス」、舞台照明が暗めなのも、
全く気にならなかった。

この「クロノス」、梶尾真治氏の「クロノス・ジョウンターの
伝説」が原作。昨年は映画「この胸いっぱいの愛を」にも
なった、人気作品。

公演は、神戸で幕を開け、東京で約1ヶ月上演、そして、
横浜で幕を下ろす、というスケジュールだった。東京の
時は、仕事と他の予定がびっしり入っていて結局行けず、
涙を飲んでいたところ、横浜にならどうにか行けそうだと
気づき、やっとの思いで行く。

今回の「クロノス」、見た人は口々に感動の涙を流した、と
言う。

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ロビーへ入ると、マスコットの
みき丸ちゃんも、お花に
囲まれてなんだか幸せそう。
2階への階段を昇り、席に着く。

開演10分前、加藤さんの前説が始まる。
「いやー、ライブハウスだと2階のてっぺんの
お客さんのお顔まで見えていいですねー」とご満悦。
その、2階のてっぺんにいた私も、加藤さんのお顔が
くっきり見えた。

この日は止まっていた私鉄があったとかで、加藤さんは
時計を見ながら、いつもながらの「マシンガンで絶妙な」
トークを展開。19:05過ぎ、ロビーからもOKサインが出て、
会場が闇に包まれ、公演が始まった。

ストーリーは、吹原(すいはら)和彦が、中学生の頃から
ひそかに憧れていた蕗来美子(ふき・くみこ)と再会、
でも、その来美子が交通事故に巻き込まれてしまい、
あっけなく死んでしまう。そこで、和彦は、会社で
極秘開発中の「クロノス・ジョウンター」(物質を過去へ
飛ばせる機械)で、自分が事故の起こる直前に行き、
彼女を救おうと決意…というもの。

巨大な「クロノス」が煙を立ててうなり、光り、和彦を
過去へ飛ばす。でも、過去へは長い間いることが
できない。そして、9:30に過去に着いたのなら、次に
再び過去に戻る時は、前回戻った時刻よりは前に
戻ることはできない。
しかも、いちど過去に飛ばされると、自分が出発した
日時より、はるかに未来へと戻されてしまう!!

最初に過去から帰って来た時は、1年半の時が
経っていた。「行方不明者」として彼が新聞で報道
されていた、と周囲が教える。そして、次に飛んだ時、
戻ってきたのは7年後!!そう、「どこへ戻されるか
分からない」、不安をはらんだ、開発途上のクロノス・
ジョウンター。

1度では来美子を救えない。2度、3度、危険を冒して
戻る和彦。どんどん事故の発生時刻、10:15が
近づいていく。あせる和彦、手に汗握る客席。
開演から1時間もたたないうちに、あちこちから
すすり泣きの声が聞こえる。

「時の神、クロノスには逆らえないよ。過去を変える
ことはできない」と言う周りに、「いいや、そんなことは
ない!!」と叫び、どんな未来へと飛ばされるかわから
なくても、愛する人を助けに行く和彦。少年の時の、
来美子への憧れの気持ちのまま、万難を排して
助けに行く。和彦は願いを叶えられるのだろうか…。

原作の良さを生かしながら、キャラメルらしくテンポよく、
そして、ユーモアも盛り込みながらストーリーが進む。
みな、どんどん引き込まれている。私にとっても、泣き、
笑い、あっという間の2時間だった。

クロノス、とはギリシャ神話の時をつかさどる神。
神に立ち向かい、いちど死んだ愛しい人を救い出す
和彦の姿は、あまりにも無謀に見える。

でも、その想いが強ければ、神の心をも動かせるかも
しれない。自分の熱い想いを貫くこと、生きるうえで
これが大事なんだ、キャラメルの「クロノス」は改めて
そう気づかせてくれる、素晴らしい内容だった。

blog060116-C


外へ出ると、小田和正さんからのお花!
小田さんは12日に見にいらしていたらしい。
小田さんも感動なさって帰られたのだろうか。

実は、今回は、私のweb連載している
「ロゼッタストーン」で、加藤社長が
長年連載を持たれているご縁で、舞台にご招待して
いただいた。つきのみどりとして、はじめて、
ご招待していただいた記念すべき舞台。
だから、1/13は私の「招待記念日」。

(加藤さん、「ロゼッタストーン」の弘中社長さん、この場を
お借りして、改めてお礼申し上げます)
その舞台がこの「クロノス」でよかった、しみじみこう感じた。

実は『クロノス・ジョウンターの伝説』は、あと2編の短編から
成っている。今年、その2本を原作にした公演が既に決定
しているという。今からとても待ち遠しい!

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※最後の写真は、原作本と、終演後に
限定販売されていた「みき丸フィナンシェ」。
サポーターさんのお一人のお店で焼いたとの
こと。バターの香りがきいた、おいしい品だった。

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コメント

一時期、月2本以上ペースで観劇し続けてた期間があり、キャラメルボックスも1~2回?観に行きました。
観に行って、「激戦チケット」なのに納得!
内容も判り易いし、喜怒哀楽があるし(笑)
通路まで観客でいっぱい! 休憩時間も席を立てないくらいでした。

最近は年に1~3本行ければいいかな~って感じでσ(^_^;)
でも今年は既に2月と5月辺りに行けそう。
今から楽しみ♪

投稿: 春霞 | 2006/01/16 21:42

>春霞さん

今年もよろしくお願いします♪

>通路まで観客でいっぱい! 
>休憩時間も席を立てないくらい

そうなんですよね。今回は
当日券だった方は、舞台が
見えにくかったみたいでしたが、
それでも来たいんですものね。

21年目に入ったキャラメルの
今年の公演、楽しみなものが
目白押しですね!私も何度も
見に行きたいです!!

投稿: つきのみどり | 2006/01/16 23:27

主人公の愚直なまでの姿勢に最終的に僕も泣きました。
必死に泣かまいって決めてたんですけどね。はは。

投稿: MIZK | 2006/01/17 00:46

>MIZKさん、こんばんは!

>主人公の愚直なまでの姿勢

そうですね、胸を打たれましたね。
同性から見てもそう思えると
いうのは、良い作品の証拠ですね!

投稿: つきのみどり | 2006/01/17 21:07

つきのみどりさん、こんばんは。
こちらのブログにコメントするのは初めてだったかと思います。
森繁久弥さんと上条恒彦さんの「屋根の上のバイオリン弾き」も、「レ・ミゼラブル」も観に行った事がありますので、もしかしたらどこかですれ違っていたかも知れませんね。
恥ずかしながら高校時代に演劇部だった事もあってミュージカルや中小劇団の公演も何度か足を運んでます。特に小劇場などでは観客と劇団員との一体感が好きで学生時代は地元の演劇グループの公演などに良く参加したものです。
最近は明治座などが多いので我ながら「年とったなぁ(笑)」と思う次第です。
またどこかのライブ会場でお会いしましょう。

投稿: 上州もぐら | 2006/01/18 02:50

上州もぐらさん、ようこそ
おいで下さいましてありがとうございます!!

一瞬、恒平さんのライブへの
コメントかと思いましたが、
拝見して納得しました。
おっしゃる通り、どこかで
すれ違っていたのかもしれませんね。

>特に小劇場などでは観客と
>劇団員との一体感が好きで

そうですね、演じられていたことが
あるなら、なおのこと強く感じられる
のでしょうね。

明治座ではいつぞや、武田鉄矢さんの
お芝居と、海援隊のコンサートが
上演されていて、「あぁ、
フォーク世代もそんな年齢に
なったのか」と私までしみじみ
感じたことを覚えております(笑)。

またお目にかかれるのを楽しみに
しております。寒いので、どうぞ
お気をつけ下さいませね。

投稿: つきのみどり | 2006/01/19 00:01

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