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2006/03/20

及川恒平さん&渋谷毅さんLive キャリアのかもし出す音

及川恒平さんのライブが、3/17、横浜・
イギリス館で行なわれた。

blog060320-A


この日はいつもと趣向を変え、
渋谷毅さんとのコラボ。ライブも、
いつもは奥に追いやられている
グランドピアノが、しっかり主役に納まっている。

行ける時は早めに足を運んでお手伝いをするの
だけれど、出た時刻がいつもより遅く、また、
年度末の金曜で、いつもより大幅に遅れて着く。
他の方も大変な目にあって着かれたらしかった。

どなたのお心遣いかわからなかったのだが、
マイクスタンドにも花が飾られ、春の装い。
観客も、いつもの及川さんのライブではお目に
かからない方を多くお見かけする。

blog060320-B


ライブ冒頭、及川さんの
「いつもイギリス館での
ライブでは、プログラムが
あるのですが、今日はありません。
昨夜まで曲を悩んでいたので…」というお話。
まずは恒平さんのソロでスタート。
「雪の子猫」、糸田ともよさんの短歌
からの歌などが並ぶ。

そして、渋谷さんを呼び入れ、おひとりでの
ピアノコーナーへ移る。及川さんの口から、
渋谷さんと初めて共演したのは、恒平さんが
「出発の歌」の作詞で合歓(ねむ)でのヤマハの
ポピュラーフェスティバルに出られていた時、と
いうお話がでる。ということは、1970年前後の
ことか。

渋谷さんのピアノは流れる水のように、次から
次へと多くの曲をつむぎだす。自然に気持ちが
あたたかく、そして和らいでいくのを感じる。

渋谷さんは、古くは由紀さおりさんの「生きがい」
(作曲)、坂本九さんの「見上げてごらん夜の
星を」(編曲)などで知られ、最近でもNHK
子供向け人気番組「ピタゴラスイッチ」の音楽
担当などでご活躍中。
※写真は「タイムスリップグリコ」のもの

blog060320-C


そして、昨年4月に他界
した高田渡さんと、最後に
共演した方でもある。
高田さんは、きっと、今日も奥の
サンルームに聞きにいらしたことだろう。

ピアノが終わると、いったん休憩。そして、
後編へ。
まず、恒平さんの「ガラスの暦(こよみ)」。
これも、最近お気に入りの糸田ともよさんの
短歌からの歌。

そして、渋谷さんを招きいれてのセッション。
「小舟行」、「冬の池」、「大雪の日」、「地下
書店」…恒平さんの演奏を見て、ふっ、と、
雰囲気を壊さず、でも正確に入っていく
渋谷さん。ふたりのキャリアが織りなす、
若者にはちょっとやそっとでは出せない、
味のある演奏が続く。

「小舟行」は、萩原健二郎氏の詩がもとに
なっている。「ただ、♪好きだよ 好きだよ 
好きだよ…」と、3回のリフレインがあるのが、
原詩と異なるところ。※参考:及川恒平さん
公式サイト「歌のはなし」第54回

先日読んだ「AERA」(06/03/20号)の記事で、
小田和正さんが、「ラブストーリーは突然に」は、
「母の死で、恋愛の歌を歌う心理的抵抗が
なくなったことも大きい」と語っていらしたことを
突然思い出す。

イギリス館には、いつも恒平さんのお母様が
聞きにいらっしゃっている。お母様は、そして、
ご自身は、どんな思いで恋の歌を聞き、
そして、歌われているんだろうか。いちど
お聞きしなくては、と思う。
でも、恒平さんはいつも自然体でいらっしゃる
から、単に「歌いたいから歌う」ということなの
かもしれない。

「詩人や歌人が最初に書いたものを自分たちが
アレンジすると、最初に書いた人は”こんな
つもりじゃない”と思うのかもしれませんね」
(ドキッ)

思わず、
(すみません)
心の中でつぶやく。私がこうして印象記を
書かせていただいていると、ライブに出られた
アーティストの方々の中には「そんなつもりで
歌ってはいない」と思われる方もいらっしゃる
かもしれない。

でも、自分がweb連載など、ささやかながら
発信する立場に立ってみると、つくづく考える。
「言葉は形にすると、自分の手を離れてひとり
歩きし始める、だからこそ文字にする時には、
何度も読み返し、誤解を招かないような
書き方を心がける」ことを。

でも、評論などは別にして、詩や短歌、小説
などの作品は、作り手の意志と異なる受け
取られ方をされることがどうしても起こる。
それが芸術作品の持つ宿命なのかもしれない。

ライブは、アンコールに「雨が空から降れば」の
コラボで終了。いつものギターの音色だけ
ではなく、ピアノが加わることで、優しい雨が、
遠くまで降り続いていくような、音の広がりが
ある。

演じ手のおふたり、それぞれがキャリアを
積み重ねていらっしゃり、数十年ぶりの共演でも、
これだけの素晴らしい音を聞かせて下さる。
それこそがベテランの奏でる「音の味わい、
深み」なのだろう。

きっと、この日の観客は、「春本番を先取り」した
ような、あたたかな気持ちで、イギリス館をあとに
したのではないだろうか。

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