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2006/08/29

「斉藤くん」は、ここにも、いる

今年の夏の甲子園は、早稲田実業の初優勝で
幕を閉じた。

駒大苫小牧高との決勝戦は、とても素晴らしい、
良い試合だった。9回に入る前、「翌日、再試合に
なるだろう」そういう予感が、私の胸をよぎった。
そして、「出来ることなら、どちらにも勝たせてやりたい」
そう思いながら、8/20の午後、私はテレビを見ていた。

翌日の再試合で、早実の優勝が決まると、エースの
斉藤選手への「佑ちゃん」フィーバー、「ハンカチの
王子様」呼ばわりなど(私が今さら書くまでもない
けれど)、きっと、本人も困っているだろうな、と思う
ほどの大騒ぎになっている。

秋に予定されている、学校の文化祭では(ファンが
殺到すると困るから)、本人を登校させない、という
話も出ているという。彼にとって、高校3年生の
文化祭は、人生でもう二度と味わえないはずなのに。
彼がなんとも気の毒でならない。

甲子園で活躍すると、こんな風に大きく取り上げ
られるから、各地の学校では、甲子園出場が
「学校の売名行為」として位置づけられ、全国から
有望選手が集められる。また、校長や理事長などの
管理職の中には「テレビで放送する競技しか優遇
しない、テレビで試合を放送しない部活動には
応援に行かない」などという、トンチンカンな発言を
する者が出てくる。

こういう考え方をする人に、私は言いたい。「テレビで
その競技を放送しないのは、生徒の責任なのですか」と。
そして、こんな発言をする人がいるから、テレビ局の
関係者に、「高校生の全てのスポーツの生中継を
やめるか、全てのスポーツの中継をするか、どちらかに
統一して下さい」とも言いたい。

自分の信念を持ち、日々血のにじむような努力を
チームメイトと重ね、栄冠を勝ち取った立派な彼を、
私は、「佑ちゃん」と呼びたくないので「斉藤くん」と
書く。彼は、礼儀正しく、親元を離れて兄と共に
がんばる姿が、無気力で意欲に欠ける「イマドキの
高校生」とはかけ離れて珍しく、まるで「ひと昔前の
高校生」のようで、幅広い年代から好感を持たれて
いるのだろう。文武両道、というのも好感を持たれて
いる大きなポイントに違いない。

(彼はスポーツ推薦での入学だそうだけれど、
早実の場合、出願時の中学での成績が「3.5以上」
ないといけない。今は絶対評価とはいえ、この数字は、
まじめに何事もこつこつ取り組み、テストでも良い
結果を出していないと得られない)

でも、学校現場にいる私の目には、「斉藤くんの
ような生徒は、結構いる」と映る。礼儀正しく、勉強も
部活動も、自分なりに精一杯努力している生徒。
部活動できちんと後輩の指導をし、後輩の模範に
なるような行動を、常にしている生徒。部活動に
限らず、自分のすべきことをきっちりこなし、まじめに
生活している生徒。

男子でも、女子でも、こういう生徒を何人も私は
知っている。これはきっと、生徒の家庭、関わる
先生方、先輩やコーチなど、周りの方全ての
ご指導のたまもの。

もちろん、「イマドキの高校生」のような生徒も、
何人も知っている。でも、現場にいる者からすれば、
斉藤くんのような生徒を身近で見ていると、あれほど
大騒ぎする理由がピンとこない。世間一般の多くの
方は、現在は「イマドキの高校生」がほとんどで、
斉藤くんのような高校生はいない、と思っているの
だろうか。

そして、「イマドキの高校生」ばかりに囲まれ、手を
焼き、心を病んでしまう教員も数多い今の日本では、
斉藤くんのような生徒を何人も知っている、と言える
私は、幸せなのかもしれない。

去年も「毎日が『プチ甲子園』」という記事で書いた
けれど、生徒の成長に立ち会える仕事は、他には
代えられないもの。だからこそ、自分なりに信念を
持って、日々努力していかねば、と改めて思う。

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コメント

みどりさんが甲子園にまで興味を持たれているとは今までのブログから見て意外でした(笑)
でも高校生のスポーツですものね。
今年は特に歴史に残るような試合を見られたので、誰のこころにも残るものになったと思います。
私は高校の時野球部のマネージャーで本気で甲子園を目指して3年間頑張ったので、毎年特に夏の甲子園は目が離せません。
しかしみどりさんが書かれているようなマスコミによる弊害もあると思います。
斎藤君たちがこれから進路も決まる時期、大人たちがきちんとした態度で彼らを乱すことのないように願ってやみません。

投稿: れいん | 2006/08/29 21:14

>れいんさん


こんばんは、コメントありがとう
ございました。
元・野球部マネージャーで
いらしたのですね。青春時代は、
選手たちの汗と涙を間近でご覧になって
いたのだと、光景が浮かびました。


れいんさんもおっしゃる通り、
今回の騒動には、マスコミが
あおり過ぎている弊害が
あると思います。マスコミが
持ち上げるのはほんの一時ですが、
あおられた側には、その後
長い人生が待っているのです。
まして、彼は未成年です。


(高校生と同世代の若者が、
母親や同級生を殺すなど、
殺伐としたニュースが多いので、
斉藤くんのような好青年は
マスコミの格好の「理想像」として
取り上げられてしまった面も
あるのでしょうね)


スポーツなどですぐれている
生徒には、その生徒に眠る
金脈を求めて、多くの大人が
群がります。心ある方が、
そのような大人から、少しでも
生徒を守って下さることを
願います。

投稿: つきのみどり | 2006/08/29 21:58

つきのみどりさま、こんにちは。いつもお世話になっております。

斎藤佑樹選手の、あの決勝戦での熱闘は、平和で、ともすれば感動の少ない現代に、ひとつの風を呼んだのでしょうね。オリンピックで金メダルを勝ち取った、荒川静香選手のときのように。日本人は、ブームになるほど熱狂しても、飽きっぽいからそのうちほとぼりが冷めると思います。斎藤選手にとっても、今回の騒ぎは、迷惑にしても、きっといい社会勉強になったことでしょう。

彼の冷静さをとりあげるメディアは多いですが、実は、マウンド上で感情を丸出しにするタイプだったらしいですね。OBに、「投手がマウンド上で感情丸出しにして何かいいことあるのか」と諭され、今のようなクールさを身につけたのだそうです。脳科学者の茂木健一郎氏がおっしゃるように、「短所や欠点すら、改善しようと努力すれば、それはその人の長所や持ち味になる」のだと思いました。

私は体育会で硬式庭球をやっていた経験があり、試合で力を発揮するには、運動技術だけではなく、大観衆に囲まれても動じない、また、相手にリードされても動じない精神力が必要だと実感しています。その点が、弱冠18歳の斎藤選手は優れていると思います。私は彼にひそかな声援を送っていますよ。(迷惑なので、どこかに出かけて集団でキャーと声援を送ることはしないけど・・・)

投稿: 春野かめこ | 2006/08/30 13:08

>春野かめこさん


こちらでは初の書き込みですね。
お出ましありがとうございます。


ご指摘の通り、ポーカーフェイスは
彼が努力して身につけたもの
だそうですね。こういったことも
含めて、彼の努力は素晴らしいと
思います。

彼がどういった進路を取るか
まだ未知数ですが、どんな
道に進んでも、あの度胸と
クールな表情は、大いに生かされる
ことでしょう。


>日本人は、ブームになるほど熱狂
>しても、飽きっぽいからそのうち
>ほとぼりが冷める


彼の努力は大変素晴らしいのですが、
教員の端くれとしては、今のままでは
彼の日常生活に支障があると思いますし、
学校全体に支障が出るとも考えられます
ので、早くブームが冷めてほしいと
願っています。


投稿: つきのみどり | 2006/08/31 00:51

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