« 演劇集団キャラメルボックス公演『少年ラヂオ』 あなたに届け、この思い | トップページ | 猫 Live in ペニーレーン ライブという「時の贈りもの」 »

2006/12/14

まるで六文銭のように Live in MANDALA 「詩」と「詞」の楽しみ

Blog061214


12/6、まるで六文銭のようにのライブが、
南青山のマンダラで開かれた。

ここでの「まる六」ライブは半年ぶり。この付近のライブに
来ると、不離亭(2006/2/13付記事)で食事をすることが
多い。
おかみさん、そして、数ヶ月前から入られたという
板前さんと、矢継ぎ早に話をして、外苑前に来た
ことを実感する。そして、カウンターの上の、
おいしい鰤に、冬を実感する。

ライブは「はじまり はじまる」で幕を開けた。
(この曲、おめでたい匂いがする)
そう思っていたら、小室さんから、
「これは佐々木幹郎さんが、どなたかの結婚の
お祝いに書かれた詩が元だそうです」
とのお話がある。むべなるかな。でも、のっけから、
内心を見透かされたようでドキッとする。

続いて、茨木のり子さんの詩にメロディをつけた
「12月のうた」。茨木さんらしい、ユーモアに富んだ、
そして、鋭く世の中を切り取った言葉で、「12月だ!」と、
観客は実感したことだろう。

小室さんと及川さんは、それぞれジャケットを
着ていらして、冬の匂いがする。おけいさんは、今年
流行のグレーのニットを着こなしていらっしゃる。
黒いスカートとタイツが、これまた冬の装いを感じさせる。

ここから曲は、次の季節を感じさせるように、「春は
日傘の」、「夏・二人で」と続く。観客はどんどん
まる六の世界に引き込まれていく。

そしてそのまま、ソロコーナーへと入る。及川さんが
「地下書店」を、新しいアレンジで聞かせて下さる。
小室さんのギターを借りて奏でる、アルペジオが
心地よく会場に響き渡る。

おけいさんが、新曲「うれしくて」をご披露。先日の
ソロライブで歌われたばかりだけれど、小室さんと
及川さんのアドバイスもあり、少し手直しをされたと
言われる。おふたりの微笑みが、なによりの答えだった。

小室さんは、「雨」を歌われる。優しく、優しく大地に
しみこむような、恵みの雨を思わせる歌。

ここでお三方、再び揃い踏み。「雨が降りそうだな」の
後は「今日はいい天気だな」、そして、「石と死者」。

後半はお三方揃って進んでいく。
「君は誰かな」、「無題」、そして、この日いちばんの
拍手が来た、「面影橋から」。

「ただあたたかくカラッポに」の後、この日「別役組曲」と
題された曲が並ぶ。もちろん、詞は別役実氏。

同名の童話がある「淋しいおさかな」、そして、『ふな屋』
から、「雨の日も風の日も」。
続いて、(別役氏の唯一のミュージカル)『スパイ
ものがたり』から、「雨が空からふれば」、「私と
お前のタンゴ」、「リンゴの木」、そして、「私はスパイ」、
合計6曲。
こうして、客席は、シュールで悲しく、人間愛も込められた、
別役ワールドにたっぷり酔いしれた。

「街と飛行船」まで別役ワールドが続いた後、「私は月には
行かないだろう」(詞・大岡信氏)、そして、中原中也の詩に
メロディをつけた「サーカス」。
こうしてライブが終わる。場内から万雷の拍手が沸き起こる。

お三方は、アンコールに「引き潮」で応えて下さった。

「まる六」では、現代を代表する詩人たちの「詩」に出会える。
私にとっては、学生時代に習ったり、また、自分が教える
がわに回ったりして知った方のお名前ばかり。

評論や随筆、小説はもちろんだけれど、私は詩歌(しいか)も
必ず授業で教えることにしている。端的に、そして、鋭く
世界を切り取った言葉の向こうに広がる、果てしない「詩」と
いう存在。どれほど私がその素晴らしさを伝えきれて
いるか、わからない。

でも、生徒に感想を書いてもらうと「この詩は素敵だと
思います」、「先生、この詩は悲しいねぇ」など、詩の
世界を自分なりに理解している生徒が多くいることに
勇気づけられる。
そして、その感想を通して、私にとっても新たな発見が
あったりする。

そして、学校を離れた生徒たちが、どこかで、何かの
きっかけで「この人の詩を習ったな」、「似たような詩を
習ったことがあるな」、なんて思い出してくれたり、詩歌
そのものの良さに気づいてくれることがあれば、嬉しい。

まる六のライブを見ていると、「あれこれ長々と書き綴る
よりも、時として、詩は、強い存在感を放つ」ことに改めて
気づかされる。そして、「詩」が、曲の歌「詞」になった
時の変化の面白さ、メロディとの融合の楽しさを感じられる。
更に、童話のような短編で、鋭く切り取られた世界が、
歌「詞」になる面白さも感じられる。

ライブ後、私はある本を注文した。
別役実『淋しいおさかな』(PHP文庫)。長らく絶版に
なっていた童話集が、今年の9月、文庫化されたのだと
いう。『淋しいおさかな』はもちろん、『ふな屋』も収められて
いる。

「まる六」ライブに来ていなければ、おそらく、出会う
ことのなかったこの本。今、この本を手に取るのを、私は
心から楽しみにしている。

【追記】
セットリストなど、四角佳子さん公認ファンサイト
「On Stage」を参考にさせていただきました。
ここに記してお礼申し上げます。

|

« 演劇集団キャラメルボックス公演『少年ラヂオ』 あなたに届け、この思い | トップページ | 猫 Live in ペニーレーン ライブという「時の贈りもの」 »

コメント

はじめまして。
10月からまる六のおっかけをはじめたたくみです。おっかけ大先輩のつきの先生に勝てることと言えば34年前から六文銭のファンだったことぐらいですが、私の場合フォークソングが好きは好きでしたが六文銭はジャンルを越えた存在でした。
だから懐メロみたいなフォークには今はあまり興味がなく、今も新鮮な(でも懐かしい)六文銭フリークになった次第です。はっきりとは覚えていませんが小室さんのファーストアルバムで、つきのさんもおっしゃっているように色んな詩人の方の詩がまるでそのために書かれたようなメロディにして歌う小室さんに興味をもったのが大きなきっかけだったような気がします。なにせ滝沢耕平さんという一般の方の投稿詩(確か朝日新聞)にまでメロディをつけてしまう"賞状"っていう曲もありましたね。
何年かたってこへさんのサイトでつきのさんのコンレポを拝見して、眠っていた何かがはじけたのかも知れません。それからおけいさんのサイトにお邪魔するようになり今に至っています。
浜松町ではお声だけでしたが、青山では多分あの方がつきのさんと思いながらお声をかけることができませんでした。次回はなんとかご挨拶したいと思います。長々とした書込で申し訳ありません。では。

投稿: takumi | 2006/12/14 23:09

>takumiさん


ようこそおいで下さいました。
書き込みありがとうございます。
私は追っかけ「大先輩」でも、
ましてや、takumiさんから
ご覧になって「先生」でも
ありません、どうぞこの点、
よろしくお願い致します。

今年5月に放送されたNHK-BS2の
「フォークの達人」の公録に
行った際、小室さんのお話を
うかがっていて、「新しい若者の
音楽=フォークソング」と、
「新しい若者の詩」が
出会ったのは必然だったと
気づかされました。

「賞状」という曲もあるのですね。
教えて下さり、ありがとうございます。
いつか機会があれば聞いてみたい
ものです。

こちらこそ、今度ご挨拶できるのを
楽しみにしております。


投稿: つきのみどり | 2006/12/15 00:08

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73691/13071180

この記事へのトラックバック一覧です: まるで六文銭のように Live in MANDALA 「詩」と「詞」の楽しみ:

« 演劇集団キャラメルボックス公演『少年ラヂオ』 あなたに届け、この思い | トップページ | 猫 Live in ペニーレーン ライブという「時の贈りもの」 »