パートナーLive Vol.9 松山での出会いの宝石たち
11月のはじめの頃、土曜日の深夜。
「松山行きの飛行機、予約してくれる」
帰宅したパートナーの言葉で、今回の
できごとは幕を開けた。
「えっ、松山?松山って、愛媛県…四国でしょう?」
「陽っ水さんとライブに出ることになった」
「えーっ?!」
「旅のつづきで会った、地元の方のクリスマス
パーティーに招かれて…」
「何人くらい、いらっしゃるの」
「100人くらいって聞いてる」
「ひゃ、ひゃくにん?!」
そんなに多くの方の前で?しかも、初めての土地で?
そう、今までの人生で、私たちはふたりとも、
四国に足を踏み入れたことがなかった。
「…陽っ水さんとセットでいらして下さい、って
いうことよね」
「そう…とにかく、飛行機とホテルを予約して」
事態が飲み込めないまま、とにかくPCに向かい、
すべて手配し終えたのは、その日寝る前だった。
愛媛県松山市。夏目漱石『坊っちゃん』の舞台、
正岡子規の故郷。一度行ってみたいと、初めて
『坊っちゃん』を読んだ、中学生の頃から願っていた。
でも、四国そのものに行く機会に恵まれない。
そんな中、本当に思いがけず舞い込んだお話だった。
12/1の朝、私たちは羽田空港から松山行きのフライトに
乗った。飛行機に乗る時は、できる限り「富士山の
見える窓側」に座るようにしている。麓で、大好きな
祖父母の眠る富士山。富士山を見ると、心が
落ち着くし、守られている気持ちになる。
シートベルト着用の
サインも消えた頃、
窓の外に、息を呑むほど
美しい富士山の姿が見えた。
(いい旅になりますように)
無事松山空港に着くと、今回の主催者、松井豊さんが
迎えに来て下さっていた。パートナーは面識がある
ものの、私は初対面。松井さんの運転で、市内へ向かう。
松井さんは市役所に長年お勤めになり、この春の
ご定年後、今は社会福祉事業団にいらっしゃるとのこと。
車を走らせながら、市内の歴史や観光地など、大変
詳しく説明して下さった。松山市内は司馬遼太郎
『坂の上の雲』の2009年のTVドラマ化(NHK)を控え、
静かに期待している様子に満ちていた。
空港から市街地までは20分ほど。話しているうちに、
今回のライブ会場、松山ワシントンホテルプラザに到着。
ホテルの隣では、松井夫人・てるみさんが、花アトリエと
いう素敵なお花屋さんを経営されている。ちなみに、
てるみ夫人も今回の主催者でいらっしゃる。やっぱり私は
「はじめまして」のごあいさつ。
てるみ夫人は、地元で土曜市を開催なさったり、
イベントなどを開かれたりもされている(詳しくは、
小箱ショップE-Spaceのサイトで情報が出ている)。
地元の活性化のために走り回っていらっしゃる。
今回のパーティーは、松井さんご夫妻が友人、
知人を招いて開かれるとのこと。毎年開いて
いらっしゃるご様子だった。
(あぁそうか、きっと、おふたりは地元の
名士さんご夫妻なのだ)
リハーサルで忙しいパートナーと別行動で、
松山の街なかへ早速出かける。地元の
伊予鉄道が運営する路面電車で、松山市駅へ。
駅前にはデパートと観覧車もあるけれど、一歩
路地へ入れば、歴史ある街のおもかげが、
そこかしこに見える。
真っ先に向かったのは、子規堂。正宗寺
(しょうじゅうじ)の16代ご住職と、正岡子規が
幼なじみというご縁で、若くして亡くなった子規の
ために、境内で子規にまつわるものを展示している。
子規の着た着物地や、布団の生地、漱石の手紙
などが、確かに彼らの「生きていた」証となっていた。
明治中期の
伊予鉄道の車両も
展示してある。中に入ると、
1両は片側に6人も座ればいっぱい、と
いう感じ。「マッチ箱のよう」と漱石が言ったのも
ナットク。
街の空気を吸い、ホテルへ戻ると、陽っ水さんも
いらしていた。今、山口県に単身赴任中の陽っ水さんは、
広島県・呉からフェリーで松山に上陸なさったと言われる。
宴会場は、円卓が
10ほど置かれている。
私の席も、陽っ水さん、
パートナーの隣に「つきのみどり様」と
して、用意して下さってあった。
開場時刻になり、次々に松井さんご夫妻の
お知り合いがいらっしゃる。皆さん、毎年
このイベントを楽しみになさっている様子が
伝わる。私も、お隣になった地元のCM製作
会社の社長さんご夫妻と、楽しくお話をする。
道後温泉のおみやげ物店の若旦那さん、藤崎さんの
司会でパーティーが始まる。松井さんご夫妻は
会場をあちこち歩かれ、ごあいさつなさる。
コースのお料理が次々に運ばれ、皆さん、舌鼓を打つ。
陽っ水さんとパートナーは出番が終わるまで席には
着けないので、その分、私がお料理を取り分けたり
していた。
この日のご出演者は、3組。
まずは、Sweet 10 Heartというトーンチャイムの
グループの皆さん。てるみ夫人もこのおひとりで、
クリスマスの曲を3曲、素敵な音色で聞かせて下さった。
トーンチャイムは、華麗な音色だけれど、楽譜書きも
大変だし、持ち運びがなんと言っても重くて大変、と
あとでおっしゃっていた。
そして、陽っ水さんとパートナー。
「…今日は東京から、ご夫人の
つきのみどりさんもいらしていて…」
(わっ!)
予想外のご紹介に、慌てて立ち上がり、にっこり
お辞儀。
「能古島の片想い」、「東へ西へ」でライブが始まる。
食事やおしゃべりを楽しみつつ聞いている方が
多い中、じっと聞き入って下さる方も、何人もいらっしゃる。
「心もよう」、「いつのまにか少女は」、「帰れない二人」。
懐かしい曲を久々に聞き、涙ぐむ方もいたようだった。
(皆さん楽しんで下さっているみたい)
私も安心する。
「氷の世界」、「少年時代」、「雪が降る町」、「傘がない」、
そして、ラストは「夢の中へ」。
盛り上がりは止みそうになく、アンコールは「いっそ
セレナーデ」。こうして1時間、11曲の
ステージが終わった。
藤崎さんが、出番を終えたふたりにインタビューして下さる。
「おふたりは今、山口県と東京都で離れていらっしゃい
ますが、練習はどうされていますか」
「最初にライブをした時に、かなり一緒に練習をしまして…
あとは、陽っ水さんのwebで公開している音源に合わせ、
家で弾いています」
と言うパートナー。
「なるほど、現代だからできることですね」
「お疲れ様でした、乾杯!」
席へ着いた陽っ水さんとパートナー、ひと仕事終え、
いい顔をしていた。
その後、ステージでは、THE FANCYS(ザ・ファンシーズ)と
いうオールディーズバンドの演奏が始まる。この方々も、
NHKの「全国バンド自慢コンサート2007」で、全国大会に
出られた(すごい!)腕前。コニー・フランシス、ベンチャーズ、
プレスリーなどの懐かしい曲をたくさん弾いて下さった。
もちろん演奏も歌も素晴らしく、そのままダンスタイムに
なり、ほとんどの方が曲に合わせ、楽しそうに踊っていらした。
その後、てるみ夫人のご友人が経営のカラオケスナックで
2次会。松山市の繁華街はスナックなどが3000軒(!!)
近くもあると、松井さんからお聞きした。
どなたかが入れられた、猫の「各駅停車」。パートナーに
マイクが回ってくる。気持ち良さそうに彼は歌っていた。
(私は彼がこの歌を歌うのを、初めて聞いた)
「また来てや」
笑顔で陽っ水さんとパートナーにお願いする方も
いらして、私も嬉しかった。
温暖な気候と、気候がはぐくむ、穏やかなお優しい方々との
出会いに恵まれ、幸せな気持ちでその日は眠った。
翌日、松井さんご夫妻に、道後温泉本館なども
案内していただき、ご丁寧に地元銘菓・一六タルトの
お土産までいただいて、お見送りしていただいた。
ギャラだけでもありがたいのに、こんなにいただいて
かえって恐縮してしまう。心からお礼を述べ、お別れした。
帰りのフライト、ANAの「翼の王国」で、松山の
記事が出ていた。
そして、窓の外には、また美しい冬の富士。
往復ともこんなに美しく見えたのは記憶にない。
(ただいま)
パートナーは
羽田からまっすぐ
仕事に向かう。私は帰宅、
家で新聞のTV欄を見て驚く。その日は
12/2、BSでの「おーい、ニッポン」が、松山市の特集だった。
早速出して、終わるまでつけていた。
話はそれでは終わらない。この日の夜、ケーブルTVを
見ていたら、路面電車の番組でなんと、道後温泉の特集を
やっているのに行き当たる!
さっき見たばかりの風景を、家でまた、TVで見る不思議さ。
そんなことは今までの旅で初めてだった。
(あぁそうか、きっと松山の皆さんと、土地に素晴らしい
ご縁ができたんだ)
人々と、土地との出会いの、きらきら輝く宝石たちに
感謝した、師走の始まりだった。
お世話になった皆さんに、この場を借りて、
改めてお礼申し上げたい。
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コメント
充実した松山の旅
うらやましいですねぇ
私等も何年か前に松山を通ったのですが、
それがまた凄い台風で・・・
結局その日の松山観光は出来ずに
翌日、次の行程に移った記憶があります。
いい汗をかいた土地はずぅっと
いい思い出の地になるんでしょうね!
私等は逆に、
苦い思い出の地になっちゃってますが・・・<笑
投稿: 1号@kumasanchi | 2007/12/12 23:29
>1号@kumasanchiさん
ようこそ来て下さいました。
そして、書き込みありがとうございます。
(^o^)
実は777件目のコメントでした。
おめでとうございます!
そうですね、台風シーズンに当たると
悲惨なことになるかもしれませんよね…
では、いつか「松山・リベンジの旅」を
しなくてはなりませんね(笑)。
お忙しそうですが、お体に気をつけて
お仕事に、そして、ライブに
励まれますように!
2号さんにもよろしくお伝え下さいませ。
投稿: つきのみどり | 2007/12/13 00:07