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2008/01/05

喫茶店「時間割」 変わりゆく思い出の地

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昨年11月、ふきのとんぼさん、と
いう方から、1枚のEPレコードを
お預かりした。

神崎みゆき「公園通りの情景」。この歌手、曲を
覚えている方はどれほどいらっしゃるのだろうか。
私はこの時初めて聞いたお名前、曲名だった。
「こうさき・みゆき」さんと読み、実は男性
なのだそうだ。

この曲はご自身のオリジナルでもあり、また、
とんぼちゃんに提供なさってもいる。このEPの
ジャケット写真は、渋谷・公園通りの「時間割」と
いう喫茶店の前で撮影されている。今はこの
写真とは異なり、ビルの地下に入っているという。

私は、ふきのとんぼさんという方から、
「自分がなかなか行けないので、このEPを、
喫茶店のマスターに差し上げてきてほしい」
というご用を承った。
以前1枚しか入手できなかったEP、偶然2枚目が
手に入ったので、1枚差し上げたい、とおっしゃる。

その時、神崎さんバージョン、とんぼちゃん
バージョンと、このお店の風景を歌った、NSPの
「白い椅子の陰」、3曲の入ったCD-Rもお預かりした。

というわけで、昨年の暮れ、渋谷に出かけたついでに
差し上げにいった。渋谷駅からなら、公園通りの
上り坂を歩き、たばこと塩の博物館を過ぎたあたりの、
ビルの1階に看板がある。看板には、こんな言葉がある。
「他人に言うなよ!二人の時間割をな…」

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らせん階段を下り、
店内へ。地下と
いうのに、入り口は
とても明るく、太陽の光が
あたたかく降り注いでいる。

「いらっしゃいませ」
品のある、蝶ネクタイをなさったご年配の
マスターが、出迎えて下さる。

ピザトーストとコーヒーを注文する。昼下がりの
店内は、お客も少なく、渋谷の喧騒の中で、
タイムトリップし、異空間に迷い込んだ気がする。
しばし待つと、昔ながらのトーストとコーヒーが
出てくる。静けさとともに、トーストとコーヒーを
おいしくいただいた。

いただいてから、
「マスター、実は…」
と、EPを差し出し、話を切り出す。ふきのとんぼさんは
以前お店にいらしたことがあるようで、お話をするうち、
「あぁ、たぶんあの方だ…」
マスターはお気づきになったようだった。
(ふきのとんぼさんから、後日、マスターからお礼の
メールをいただいた、というご連絡があった)

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お店のカードを
ちょうだいする。
1969年に開店し、1981年まで
この絵のような建物だったこと。
その後ビルへの立て替えに
伴い、今のような形での営業に
なったこと。

お店の奥に案内して下さり、壁の昔の
写真とともに、「白い椅子の陰」は
どの辺だったのか、「僕らの音楽」(フジTV系)で
NSPの皆さんが取材にいらしたこと…
矢継ぎ早に、懐かしそうに話をして下さる。

マスターは、神崎さんのEPジャケット写真を
感慨深そうに眺め、こうおっしゃった。
「パルコができた頃、この辺りのテーマソングの
ような曲があるよ、って、パルコの人に教えて
もらいましてね…」

言葉がなかった。パルコのうち、PartⅡは、昨年
12月末で閉館する、というニュースを私は聞いて
いたのだから。建築後30年が過ぎ、耐震化工事の
目処も立たないことから、閉館するのだという。
そんなことを思い出しながら、マスターに質問する。

「お正月休み、なさいますよね。来年はいつから
お店を開けられますか」
「1/7頃から…でも、もう疲れたのでね、来年店を
閉めようと思っています」

一瞬、どう返そうか言葉に詰まる。
「…わかりました、じゃあ、来年の早いうちにまた
参ります」
お礼を申し上げ、お勘定も済ませ、らせん階段を登った。

公園通りの坂を下りながら、さまざまの思いが
胸をよぎり、あふれ出しそうになり、誰かれ
構わず話しかけたくなる。

(あぁ、…公園通りでさえ、もう変わっていってしまう!)
「東京オリンピックを境に激変した、渋谷界隈の
風景」の、オリンピック後のものでさえ、もう
消えていこうとしている事実を突きつけられる。

この記事をご覧になって、1970年代の公園通りの
風景を懐かしく思い出した方。ぜひ、早いうちに、
時間割に足を運んでいただきたい。

【時間割】渋谷区神南1-15-8 03-3464-7014

【追記】
コメントとTBをいただいたsanae様から、
「1/31で閉店」というお知らせを
いただきました。

ここに記してお礼申し上げると
ともに、マスターはじめ
お店のご関係者皆さまに、
今までのご経営に
感謝申し上げます。

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コメント

学生時代を1977年-1981年まで東京で過ごした僕にとっても、何度か足を運んだ場所でした。

新宿のTOPSも昔の建物が無くなり、神田のさぼうるは健在みたいですね。

本当に思い出が思い出になってしまいます。

投稿: ジキル・ハイド | 2008/01/06 06:54

>ジキル・ハイドさん


今年もよろしくお願い致します。
ジキルさんにとっても、ここは
思い出の地のひとつだったのですね。
年代から考えれば、古いお店に
懐かしい記憶がおありですよね。


喫茶店では、以前、談話室滝沢の思い出を
書いたことがあります(2005/3/31)。

http://tsukinomidori.cocolog-nifty.com/happy/2005/03/post_18.html


喫茶店は大なり小なり、大人への入り口の
ような場所で、子どもは来ず、また、
大人が安らげる空間という気がします。
そういうところが減っていくのは
寂しい限りですよね。


大事な思い出の詰まった、コメントを
ありがとうございました。

投稿: つきのみどり | 2008/01/06 13:02

つきのみどり様
本日も時間割に行って参りました。トラックバックさせていただきました。
文中にも書きましたが、なぜかここ数日「30年ぶりに訪ねました」というかたが多いそうです。やはり虫の知らせなのでしょうか。不思議ですね。

投稿: sanae | 2008/01/26 21:46

>sanaeさん


コメントとTB、ご丁寧に
ありがとうございました。
あと数日でご閉店ですね。私も
伺えたら、と思っております。


この記事をご覧の皆さんも、
良かったら時間割にお出かけ
なさってみて下さい。
来月になったら、行きたくても
行けないのですから…。

投稿: つきのみどり | 2008/01/27 17:14

76年から大学卒業寸前の79年春まで
この時間割でバイトしておりました。

社会人になっても時々足を運んで
おりましたが、弊店の情報を今頃に
なって知り少しブルーになっております。

この店は私の青春そのものでした。
マスターとチーフお元気ですか。

投稿: 平賀 信行 | 2015/06/03 17:13

> 平賀信行様

お立ち寄り、そしてコメントありがとう
ございました。平賀様にとって大事な
青春の1ページのお店なのですね。

マスターとチーフ…申し訳ございませんが、
あいにくご消息を存じません。

私が参りました時にはマスターが
温かくお出迎えくださったこと、
懐かしく思い出されます。お元気で
いらっしゃることを願っております。

平賀様もお元気でお過ごしくださいませ。
またこちらのblogに、お立ち寄りいただければ
嬉しいです。


投稿: つきのみどり | 2015/06/03 19:39

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このタイトルがたくさん検索にひっかかりますように…。 ひとりでも多く、かつて時間割を訪れたことのある人の目にとまりますように…。 そうなんです、今日も行ってきたのですが、レジの後ろの壁に閉店のご案内の文章が貼られていました。 それによると、昭和44年にオープ... [続きを読む]

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