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2008/03/06

演劇集団キャラメルボックス『きみがいた時間 ぼくのいく時間』 待つことの意味

Blog080306a


3/4、演劇集団
キャラメルボックス

公演『きみがいた時間 
ぼくのいく時間』

見に、サンシャイン劇場へと出かけた。

キャラメルボックスでは、このところ、毎回の公演で
必ず(地方でも)、「ブログライター取材」日を
設けて下さっている。プロデューサー(社長)の
加藤昌史さんのブログ「加藤の今日」
告知があり、拝読していれば詳細がわかる。

ちなみに、加藤さんは、ロゼッタストーンwebで、
「嫌われ者のすすめ」という連載を持たれている。
そのご縁で、「教育カフェテリア」の連載を
持っている私はお話しさせていただいている
(でなければ、私がお話できる機会など、
ないかもしれない)。

ブログライター取材は、開演から2日目に設定
されることが多い。今回は事情で5日目の開催。
今まで取材日には忙しくて伺えたことがなかったが、
今回、たまたま都合がつき、応募。100人以上
応募があったのではないか、と思うが、なぜか
入れていただけて、大変嬉しかった。

ちなみに、ブログライター取材応募の条件は、
「自分のブログを持っている」、ただこれだけ。
mixi日記を全体に公開している、といった
ケースもOKのようだ。心ばかりの手土産を持ち、
帰宅ラッシュの中、池袋に急ぐ。

今回は劇団員の上川隆也さん主演、ゲストに
西山繭子さんご出演とあって、ロビーのお花の
多さと豪華さに、息を呑むばかり。関係各方面から
漏れなくお花が来ている、という印象。上川さんは
3年ぶりの舞台ご出演とのこと。その間、NHK
大河ドラマ「功名が辻」など、目覚ましいご活躍
ぶりだった。このお花の多さも頷ける。

私が、演劇集団キャラメルボックスの存在を知ったのは、
上川さんのご活躍だった。NHK「大地の子」、朝の
連続テレビ小説「ひまわり」などで頭角を現し
始めていらした頃だった。インタビューか何かで、
「僕は『演劇集団キャラメルボックス』在籍で…」
と語られるのを聞き、
(あぁ、劇団できちんと鍛えた基礎がある方なのだ)
そう気がついた。そして、必ず名優となっていかれると
思い、ひそかに応援してきた。

その後、私が「ロゼッタストーン」と出会った時、
加藤さんの連載があるのに気づき、
(この方は、上川さんのいらっしゃる劇団の社長さんだ)
すぐ思い出した。それ以来、上川さんがキャラメル
ボックスの演目に出られる日を、ひそかに、ずっと
待ち続けてきた。

「きみのいた時間…」は、梶尾真治さんの『クロノス・
ジョウンターの伝説∞インフィニティ』が原作。
キャラメルボックスが『クロノス』シリーズを手がける
のは、『クロノス』、『あした あなた あいたい』、
『ミス・ダンデライオン』に続いて4作目。私は
『クロノス』を拝見した(2006/1/16記事参照)。

住島重工・研究員の秋沢里志(上川さん)は、
LAへの派遣留学を終え、2008年、5年ぶりに
帰国する。帰国後待っていたのは、子会社への
出向と、物質を39年の過去へ送り出す「クロノス・
スパイラル」の開発、そして、5年間待ち続けて
いた、かつての恋人、梨田紘未(西山さん)との
再会。失意の日々を送るが、紘未に励まされ、
2009年6月、結婚。幸せを感じつつ仕事に
打ち込んでいたその年のある日、妻の紘未が
交通事故に遭う…というのが、今回の主な話。

いつも前説は社長の加藤さんがなさるが、今回は
違うお声。どなたか、お姿も見えない。重々しい声で
アナウンスが響き渡る。
(どなただろう…)
実は上川さんのお声だったらしい!

キャラメルボックス独特の、テンポと歯切れ良い展開で、
どんどん話が進んでいく。今回は「劇団史上初めて」
休憩が入る。「この先どうなるのだろうか」という期待で
過ごす、15分(休憩時間には、100円玉をお財布から
すぐ出せるようにしておくとgood!)。

休憩時間には(客席で飲食できないので)、ハンバーガーを
立ったまま、慌ててロビーや2階席への階段などで
食べる方も見かけた。15分だと、サンドイッチや
ハンバーガーくらいしか食べられない。休憩時間を
長くすると、開演時間を前倒しにしなければならず、
このあたりはご判断が難しいところだろう。私は
ジュースを飲んだりして過ごしていた。

そして、舞台再開。後半で、話の伏線があちこちで
つながる、驚きと快感、感動。あっという間の2時間
15分だった。

私は、特に、上川さんの演技力に圧倒されっぱなし
だった。もちろん、他の俳優さんの演技もきっちり
しているからこそ、安心してみていられるのだろうが、
2時間15分の間で、さまざまな年齢、表情を
演じ分けられているのが素晴らしいと思った。

脚本・演出の成井豊さんは、webインタビューで
「上川さんのさまざまな面を出したかった」
と、言われていた。上川さんは、皆さんのご期待に、
みごとに応えていらっしゃったと思う。

そして、この上川さんの演技を拝見していて、私は、
数年前に見た森光子さんの『放浪記』を思い出して
いた。森さんの、ひとりで林芙美子の半生を演じきる
お力に通じるものを感じた。常に新作を上演なさる
キャラメルボックスでは難しいのかもしれないが、
(何年か過ぎて、また年を重ねた時の上川さんに、
秋沢を演じてほしい、秋沢を演じる上川さんを見たい)
そう思わずにはいられなかった。森さんも『放浪記』
初演時は、今の上川さん同様、40代の初めで
いらしたと思う。そんなことも頭をよぎった。

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終演後、ロビーの
みき丸ちゃんの
飾り付けの意味を
再確認して通り、ブログライター
取材会場へ。ご多忙な中、
加藤さんと成井さんに、10数名で、
あれこれと質問していく。既にこの日、
2回目の観覧だった方もいらしたようで、
鋭く、また、深く見つめた質問がいくつも出ていた。

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「最初はメンバーそれぞれが
点で演技していたのが、
3/1夜の公演から、チームでの演技、
という感じになった」

「秋沢夫妻には、成井さんご夫妻を
重ねている部分がたくさんあり、
それだけ思い入れの強い作品でもある」

「休憩を入れたのは、1幕60分、合計120分が社長の
厳命で、今回どうしても内容が1幕で60分を越えて
しまうため、入れねばならなかった」
といったお話を聞け、短いながらも実り多いひととき
だった。

改めてこの「きみがいた時間…」を見て感じるのは、
「待つ」ことの意味。紘未は、5年間、何の約束も
ないのに、秋沢を待ち続けていた。その純粋な思いに、
秋沢のかたくなな心が次第に解けていく。そして、
紘未のために、秋沢は自ら望んで、途方もない間、
「待つ」人生を選ぶ。

当たり前のようだが、誰かを「待つ」ことは、他人が
いるからできること。そして、「待つ」ことは、
相手を思ってのことでもあるし、実は、自分の人生で、
その相手の存在の重さを確認するためのことでも
あるのではないだろうか。

相手が自分にとってどうでも良い存在であれば、
「待つ」ことに何の意味も見出せず、「待つ」ことが
できないだろう。

もしも、待っているうちに、自分にとって、相手の
存在意義が感じられなくなれば、「待つ」ことを
しなくなるだろう。「待つ」ことは、その人の、
人生の貴重な時間を確実に奪っているのだから。

人だけでなく、(資格試験の合格など)何かを「待つ」
ことも、そこまでの自分の努力やものごとを信じて
いなければ、できないだろう。そして、待っている間に、
そのものごとへの自分の思いを再確認し、「待つ」
意味が見出せなければ、「待つ」ことをやめてしまうだろう。

現代人は、携帯電話などもあって、誰かを、何かを
「待つ」ことにとても不器用になっている。「待つ」ことが
どんどん苦手になり、誰かをひたすらに思って「待つ」と
いうことができなくなってきている。待ち合わせに
遅れそうで、相手を待たせそうでも、「あと○分待って」
などと、すぐ連絡ができる。

だから、大人も子どもも、あらゆることに、「待てない」
ようになっている。

そんな時代の中で、この「きみがいた時間…」は、
「待つ」ことの意味を改めて考えさせてくれる作品だと
感じた。そして、私は、上川さんのご出演を待っていて、
心から良かった、素直にそう思えた。

自分にとって、何ならば、誰ならば、「待つ」ことが
できるのか。それを考えに、ぜひ劇場に足を運んで
いただきたい。

公演は、東京ではまだ1ヶ月近く続く。その後、大阪・
神戸でも行なわれる。私も、実は、あと1回ぶんの
チケットを買っており、拝見する予定がある。
その日を、今から心待ちにしている。

【追記】
他のブログライターさんが書かれた記事は、
加藤さんの3/5のブログ記事にトラックバックされて
読めることになっています。ぜひ併せてそちらも
ご覧下さい。

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