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2009/11/19

長崎・祈りと誓いの旅

先日、長崎までの旅に出た。

(旅行に行きたい!!)
もろもろのストレスがたまり、突然思い立った
秋の初め。チケットの安い時期で検索…
長崎行きに空席を発見。

(長崎市内…そういえば、行ったことがない)
長崎県は滞在経験があるが、その時は別の空港を
利用した。
(…そうだ、見知らぬ土地に行くのもいいかも)
フライト、ホテル、それぞれに予約を入れて準備完了!

それから時間が流れ、街は既に晩秋の顔。
慌ただしい毎日の中、
(もう少ししたら旅行だ!)
励みに仕事や雑事にいそしむ。

そんな中。アメリカで銃の乱射事件が起き、
報道が流れる。
「オバマ大統領の来日が当初の予定から1日ずれ、
11/13になりました。」

(…私が出かける日!!)
羽田に来るに決まっている。厳戒態勢の中で空港に?!
(検査も厳しくなるなぁ…)
気が重くなる。

でも、前日には、
(余裕を持って空港に行けばいい)
腹を据えていた。

仕事後、ダッシュで羽田空港に向かう。途中の駅から
警察官があちこちに目立つ。空港では「展望台閉鎖」の
文字、ゴミ箱も封鎖中。
でも、警備の厳重さと見事さで、オバマ大統領が
着いたのも知らぬまま、入れ違うように、私は東京を離れた。

長崎空港に無事到着、空港から高速バスで市内へ、
往復切符で\1,200-。満席で補助椅子に乗るほどだった。
40分ほど揺られると、長崎市中心部に入ってくる。
やはり、「長崎は今日も雨だった」。

夕飯を考えながら街を歩く。サンプルを見ても食べたいと
思えるものがない。小降りになった雨の中で街をうろうろ、
ふと、「地魚・天ぷら」の文字に目が止まる。
(土地のおいしいものを食べて、パワーをもらおう)

Blog091119a


そこで、「天ぷら処 夢風」へ。
椿油でからりと
揚げた天ぷら9品、
黒米をまぜたご飯に
お味噌汁、シャーベットまで
ついたコースが\2,800-。

カウンターの向こうから、心づくしのお料理を
出して下さる大将と話が弾む。
「さだまさしさん原作の映画『解夏』(げげ)、
とても素敵で気に入ったんです」
「来年のNHK大河ドラマは、福山雅治さん
主演ですよね」

私の振った話で盛り上がったあと、大将はこう言われた。
「今、長崎に巨人が韓国のチームと試合をするから
来ていますよね、明日もありますがね」
(…知らなかった)
巨人ファンではないので、気にしていなかった。私の
今年のプロ野球は、クライマックスシリーズ途中で
終わっていた。

「ごちそうさまでした」
満ち足りた気持ちでホテルへ戻る。
ちなみに、私がいた時間、他のお客は同伴出勤の
女性と男性。あとで冷静に考え、気づく。
(そうだ、なかにし礼さんの『長崎ぶらぶら節』、
ここは円山花街だった)


Blog091119b


翌朝、雨上がりの
すがすがしい空気の中、
崇福寺、興福寺へと向かう。

それぞれ黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院。
興福寺は『解夏』の印象よりずっと小ぢんまりした
感じで驚く。境内の芝生敷きの庭園が美しい。


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こんな句碑も見つける。
「長崎の坂動き出す三日かな」

長崎は坂の街、街中を疾走する
自転車は皆無。皆さん歩きか、
路面電車、バス、タクシー、自家用車
などで移動している。

そんな長崎が、静かなお正月を過ごし、
三日になるとせわしなく行き交う人や
乗り物で、街がにぎわいを取り戻す。
その様子が手に取るようにわかる、
すがすがしい新春らしい句。

ちなみにこれ、有馬朗人・元文部科学大臣
(元東大総長)の作。久留米藩当主のご子孫
とのこと、(福岡県ではないけれど)同じ九州で
ご縁が深いからという理由の句碑だろうか。


Blog091119d


そのまま歩き、少し
路面電車に乗り、眼鏡橋へ。
幼い頃、テレビのニュース映像で見た、
長崎大水害で崩落した橋の風景が
脳裏にこびりついていた。

今はもちろん立派に復元され、川には鯉も
泳いでいる。川岸には鳩の群れが羽を休める。
(長崎の街が水害にも見舞われず、そして、
平和でありますように)

路面電車でグラバー園へ。終点の石橋駅からは
無料の斜行エレベーターがあり、急坂を登らずとも
たどり着ける。ただ、グラバー園入り口付近まで
民家が多く立ち並んでいるので、地元の方も多く乗られる。

グラバー氏亡き後、今は市が管理しているこの公園。
長崎と言えば、プッチーニのオペラ「マダム・バタフライ」、
長崎でしか買えない資生堂の香水も見つける。
バラを中心にした甘く優しい香り。


Blog091119e


グラバー園を出てすぐ、さだまさしさんの
オフィシャルショップも見つける。
「絵はがき坂」というクッキー購入、
添加物もなく、ココナツの香りがいい。


Blog091119f

国宝・大浦天主堂で
ステンドグラスの
美しさに圧倒され、息を呑む。

再び坂を下り、路面電車に乗ろうとした時。
私より少し若い感じの男性に話しかけられる。
横にはかわいらしい黒髪の女性。

“Excuse Me.”
(え、私に?それに、この人日本人じゃない?)
とっさに返事ができないでいると、再び。
“Excuse Me.”
「野球場に行きたい」という意味の単語が出てくる。
(あぁそうか…)
“From South Korea?”
私の問いに、男性が笑顔で頷く。

(野球の日韓シリーズは、東京でも大阪でもなく、
韓国からも近くの長崎でするのがいいんだ)
身をもって実感。

ガイドブックの地図と路面電車の案内で、降りる駅を
一緒に確認。築町(つきまち)で乗り換え、私は
一足先に出島で降り、笑顔でお二人と別れた。

出島付近には長崎出島ワーフという、レストランなどの
テナント街もできていて、テラスで食べる食事が気持ちよい。
やはり黒米の乗ったプレートランチを食べ、
「ごちそうさまでした」
どうしても行きたかった、平和公園へ向かう。

松山町で降り、国道206号線の交差点を右へ。
先に向かったのは原爆投下中心地。平和公園からも
すぐ近く。当時の復元地図を見て、腰を抜かしそうになる。
(ここ、民家ばかりじゃないの)
戦争の愚かしさに、だんだんと、体の中心から怒りが
こみ上げる。

交差点へ戻り、左方向の平和公園へ。ここは、原爆投下時、
刑務所だったと案内版にある。場所柄か、また、
オバマ大統領が「訪問したい」と言ったからか、東西の
外国人観光客が目立つ。


Blog091119g


平和祈念像に
向かって歩きながら、
魂が震えるのを感じた。
(どれだけの犠牲と壮絶な苦しみがあり、
また、その絶望のふちから立ち上がられたの
だろうか)

かつて広島でも感じたが、当たり前だけれども、
戦争を許し、また、招いてはならないという
決意のような気持ちと、同時に、この悲劇と
絶望に比べたら、今の自分の困難や悩みなど、
努力で解決できる、という思いもわきあがる。

そんな折。
風に乗って、道の向こう側から、韓国の野球
応援団の鐘の音などが聞こえてくる。

(そうだった!!)
平和公園と球場は同じ最寄り駅。広島でも、
旧市民球場は、原爆ドームのそばにある。
(これらの地には、球場は、この場に立たねば
ならなかったのだ)
しばらくすると、今度は、「闘魂こめて」
(読売ジャイアンツの応援歌)が流れてくる。

平和でなければ、スポーツなど楽しめるはずもない。
国を越えた試合など、なおのこと。胸にこんな思いがよぎる。
(沢村さんを再び出してはならないのだ)
プロ野球の投手で、その年もっとも活躍した方に贈られる、
沢村賞。戦前活躍し、悲運の戦死を遂げた沢村栄治さんに
ちなんでいる。

(スポーツであれ、他であれ、別の道で輝くために
生まれてきた人を、戦死させるような世の中に、
二度としてはならない)

授業で、戦争が取り上げられている作品を扱うと、
必ず私はこう言うことにしている。
「みんなを戦争に送ったり、後方で支援させるために、
私は教壇に立っていません」

万感の思いで平和公園をあとにし、浦上天主堂へ。
爆心地そばにあった天主堂、今は近くで再建され、
被爆マリア像もまつられている。かつてローマ法王・
ヨハネ-パウロ2世が来日された時、ここにも来て、
ミサも行なわれたという。

そのまま坂道を下り、「長崎の鐘」で知られる、
永井隆博士の記念館へ。白血病で苦しまれ、
ご夫人を原爆で亡くされながらも発せられた、
博士の強いメッセージに胸を打たれる。

大橋電停へ出ると、既に、野球から帰る人が
出始めている。路面電車に、年配のご夫婦が
乗り込んでこられる。

「野球ですか」
話しかけると、
「そう」
笑顔で頷く女性。
「どちらが勝ちましたか」
「まだ終わっとらんけれど、巨人が勝っててなぁ…」
満面の笑みで頷きあうお二人。
(韓国のお二人はがっかりだったかなぁ、でも、
日本に来て良かったと思ってくれることがひとつでも
あるといいなぁ…)

ホテルへ戻り、預けてあった荷物を受け取る。
お礼を言い、笑顔で空港行きのバスに乗り込む。
(いい旅だった)

人類史上2例目の核爆弾を投下された街、長崎。
1例目の広島と並び、原爆を落とした側の現在の
大統領が、「訪問したい」などと言うなど、かつては
決して考えられなかった。
そう、つまり、今、世界は前例のない動きをしている。

そんな動きの中で、長崎が平和であり続けることは、
日本のみならず、世界が平和であり続ける、
大事な道しるべなのかもしれない。

昨年就任した田上氏に至るまで、戦後歴代の
長崎市長は、平和を脅かすものに対して、
毅然としたメッセージを送り続けてきている。

また、平和だからこそ、生活を楽しむこともでき、
国を越えたつながりも生まれる。平和がなくては、
何も始まらない。

世の中が平和であり続けるために、
また、自分はもちろん、世の中の人々がひとりでも
多く幸せに過ごせるために、私なりに思いを
こめて、祈り、発信し続けていこう

強い意志が私の中に生まれた。

(長崎、ありがとう!!)
羽田空港に戻った私は、新しい決意に
満ちていた。

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【追記】
私の長崎滞在中、韓国・釜山で
長崎県からの日本人観光客の方が
射撃場での火災で死傷なさいました。
心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

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コメント

ご来店有難うございました。
ブログの中に貴方の感性がうかがい知れました。

素敵です。

またいつかお会いできることを期待しております。
次回はもっと美味しいものを提供します。期待してください。(^。^)

投稿: 夢乃風助 | 2009/11/20 00:58

>夢乃風助様

こちらこそおいしいお料理と
楽しい時間を、どうも
ありがとうございました。

また、ご丁寧にコメント
恐れ入ります。

こういう出会いがあるから、
人生は楽しいとつくづく
感じます。

また伺いたい場所ができたこと、
嬉しいです!!

投稿: つきのみどり | 2009/11/20 23:15

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