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2010/12/17

東京文化会館クロスオーバー・コンサート ポップスを次代へ引き継ぐ英知

11/18、東京文化会館で行なわれた、
「クロスオーバーコンサート 
シンフォニック・ガラ」を見に出かけた。

東京文化会館は、上野にあるクラシックの
殿堂的存在。ここで、クラシックの枠に
はまらないコンサートが年1回開かれており、
今年は稲垣潤一さんがメインゲスト。

チケットぴあからメールが届き、詳細を知る。
大友直人さんが指揮、千住明さんの編曲監修、
演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団
稲垣潤一さんの他に、辛島美登里さん
つのだ☆ひろさんもゲストご出演、とある。

(チケット買わなくちゃ!)
ところが。プレオーダー当日は、忙しさですっかり
発売を忘れてしまう。夜に気づいたが、時すでに遅し。
そこで、一般発売でチケットを取る。結果的に
これで正解。見やすい、良い席が取れた。

後日、沢田知可子さんのゲストも決まり、期待は
一層高まる。私はクラシックを見るのはサントリーホール
多かったので、東京文化会館は初めて足を踏み入れる。
奥の博物館や美術館の手前にあるクラシックホール、と
いう存在を知っていただけ。

客席に着く。ここの常連さんだろうか、いつもの稲垣さんの
ライブにはお見かけしない、男性の観客が目立つ。
19:03、大友直人さんが出ていらして、オーヴァーチュア、
「ALL THAT ORCHESTRA」。オーケストラは70人近く
いらっしゃるだろうか(詳しい紹介は公式サイト、こちら
ご参照いただきたい)。

大友さんが穏やかな笑顔でごあいさつ、そして、
千住さんを招き入れられる。

「私がここの音楽監督に就任した5年前から、
このクロスオーバーコンサートの企画は
始まりまして…」

それを受け、千住さん、
「ここの建物のコンクリートや金属の割合は、
音楽が素晴らしい響きになるように計算されて
いるのですが、現在の消防法では、もう建てる
ことができません。この音の響きをぜひ楽しんで
いただきたいです」
と、おふたりの、この会館初心者向けのお話、
大変ありがたい。

大友さんの解説は続く。
「どういう質の高い音楽ができるか…アレンジ次第ですね。
オーケストラのみ生音で、マイクはPAを使いますが、
一般のポップスのコンサートのように、ギター、
ベース、ドラムなどは使いません」

千住さん、アレンジャーとして一言。
「僕たちが亡くなった後も、ポップスを
スタンダードとして残すのがこの企画です」

ポップスの場合、ライブなら、たいていは
譜面ではなくコード譜(歌詞にコードが
ついたもの)で済んでしまう。

しかし、クラシックの場合はそうはいかない。
1音ずつ、作曲家や編曲家が譜面を書いていかれる。

「3日間かけて書いても、演奏すれば5分くらいなんですが…」
今回は、千住さんはじめ、栗山和樹さん
服部隆之さん三宅一徳さん山下康介さん
編曲を手がけられた。

稲垣さんを招き入れられ、「ドラマティック・レイン」でスタート。
コンサートマスター、大友さんの間に稲垣さんが立たれる。
ネイビーの光るスーツに、グレーのクレリックシャツ、
黒いネクタイの稲垣さん。

大友さんは指揮棒を持たれないスタイル。ヴァイオリンの
高音、コントラバスの低音が素敵に相まって響く。
ドラマティックで、
(何かが始まる!)
そんな予感を胸に呼び起こすアレンジ。

歌い終わった稲垣さん。
「大友さんのおかげで…クラシックの聖地で歌えて
嬉しいです。電気に頼らない、全て人間業(ナマ)の
音で歌うのは人生初です。クラシックのメロディに
委ねる心地よさがありますね」

MCでは、この曲が作詞家デビューでいらした秋元康さんが、
ヒットして買った車、「ドラマティック・レイン号」の、
長年のファンにはおなじみの話も。

続いて、「夏のクラクション」。鉄琴が美しい音色。
歌の後のヴァイオリンも素敵。

千住さんが、しみじみと語られる。
「青春の曲です…」
それを受け、
「オーケストラのメンバーが、稲垣さんなどとほぼ
同世代ですよね」
と、大友さん。

ここで、オーケストラと、ピアノの松田真人さんのご紹介。
ちなみに松田氏の公式サイト内DIARYで、曲ごとの
アレンジャーなど詳細を読むことができる。

ここで稲垣さん、いったんご退場。千住さんが次の方の
ご紹介で、
「クラシックに飢えていた方です…」
と。それは、沢田知可子さん。白いラメのパンツスーツで
颯爽とご登場。

曲はもちろん、「逢いたい」。切ない女心に寄り添うアレンジが素敵。
「♪遠くへ行くなと言って お願い ひとりにしないで…」
この部分は、マイクなしの生声で。その後、盛り上がるアレンジ。

千住さん、出ていらして、
「何度聞いても泣けますね…」
と、沢田さんに。沢田さんも、
「千住さんに詞に合うアレンジをしていただいて…」
と、嬉しそう。

そして、稲垣さんを再び呼ばれ、沢田さんと、
「夢の途中」。CD「男と女2」に収録、私は初めて生で聞く。

この日はここで20分休憩。解禁日だったので、ロビーでは
ボジョレー・ヌーボーも販売される。ワインにお詳しく、
日本ソムリエ協会名誉ソムリエ(ソムリエ・ドヌール)でも
いらっしゃる千住さん、
「今年のヌーヴォーは良い出来です」
とのこと。
赤ワイン好きの私だが、平日だし、ぐっと我慢。

20:00過ぎ、ステージ再開。
「次はドラマーとしても有名で、学校も経営されて
いる方です…今日はドラマーがおふたり、内なるリズムを
聞いてもらえる、またとない機会です」

そう、つのださん。白いジャケット、グリーンのベスト、
赤いポケットチーフがおしゃれで、一足早いクリスマス。
もちろん曲は「メリー・ジェーン」。アレンジが壮大、
荒野に立つ男のイメージ。テューバが効果的に響き渡る。

「オーケストラと一緒だと、感情が増幅されますね」
続いて、つのださんの「My Way」。これも絶品の仕上がり。
千住さん「ぜひに、とリクエストした曲です」

稲垣さんが再び登場なさる。千住さん、
「今日は、ドラマーふたりから、ドラムを取った、
音楽の正体が見えます」
これが一つの狙いでいらしたのだろう。

稲垣さんの、
「オーガニックの流れに身を委ねる心地よさがあります」
というお話に続き、つのださん、
「ドラム…パーカッションはオーケストラの場合、
全体の楽器のひとつ、全体を引っ張っているわけでは
ありません。ロックやポップスだと全体を引っ張るので、
そこが大きな違いですね」

つのださん、笑顔でご退場。続いて、辛島美登里さん。
すっかり見慣れた、稲垣さんとのショット。辛島さんの
赤いドレスとスパンコールが素敵。

ピアノソロのイントロから、「PIECE OF MY WISH」。
辛島さんは楽しそうに歌われている。アレンジは、
力強く聞き手を後押ししてくれる感じ。

稲垣さん、いったんご退場。辛島さん、
「次の自分を見つけるための、静かなクリスマス・イブを
過ごすという意味です」
こう話されて、もちろん、歌われるのは「サイレント・イブ」、
千住さんのアレンジで。

辛島さん、
「オーケストラと10年共演して、敷居が低くなりました…
オーケストラの皆さんは、羽根布団のように包んで下さる
温かな方たちです」
しみじみとした感想。一時期、辛島さんのオーケストラとの
共演コンサートは、この季節の風物詩だった。
大友さん、「辛島さんは音程が安定していらっしゃいますね」

辛島さんが作詞、千住さんが作曲されたオリジナル、
「明日も会えるように」。こういう日に似合う曲!

辛島さんご退場、そして、稲垣さんファンご待望の、
「クリスマスキャロルの頃には」。ドラマティックで、
意味深な雰囲気漂うアレンジがいい。

稲垣さん、
「今日にふさわしい曲は何か、考えて選びました」
(何かな…)

イントロからフルオーケストラで、ドーン!という迫力!
「言い出せなくて」だった。
歌の伴奏は抑え目になるが、途中は映画音楽みたいな
壮大なアレンジ。

大友さんの、
「稲垣さんの世界を堪能しました」
というお言葉を受け、稲垣さん、
「オーケストラの皆さんの気が背中を押してくれますよね」
大変ご満悦のご様子。

千住さん、「どこのオーケストラでも譜面は使えます」
日本のプロのオーケストラは大変レベルが高く、
今日の譜面があれば、どこでも素晴らしい演奏が
聞けるだろう。だから、今日のような企画は、
全国で開かれて欲しい。

全員が出ていらして、「Amazing Grace」。稲垣さんと
辛島さんがまず歌い始められ、続いて、沢田さんとつのださん。
つのださんは黒のジャケットにお色直し。

(こんな「Amazing Grace」、聞いたことない!)
大地の夜明け、人々の目覚めを思い起こさせる、
力強い素晴らしいアレンジ。

21:10、ステージ終了。皆さんは2度、カーテンコールに
出てきて下さった。

流行歌であるポップスを、定番で、ずっと歌い継がれ、
聞き継がれるスタンダードに。そのためには、
いくつかのハードルがある。名曲を選び、譜面を書き、
演奏する…多くの条件が揃わねば、成し得ない。

しかし、多くの英知を結集すれば、それは、できない
ことではない。
新しく難しい試みでも、賛同する
仲間と知恵があれば、叶う!
) 

多くの皆さんの一流の英知とお仕事に感動し、
大きな励ましをいただいて、会場を後にした。

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