« 平原さんちのコンサート in 洗足学園 心、絆、そして和 | トップページ | 映画『一枚のハガキ』 運命の波に負けない!! »

2011/08/17

六草いちか著『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』 小説を読み解く楽しみ

(『舞姫』のエリス探しって、どうなっているんだっけ…)


こんな疑問がふと胸をよぎったのは、今月初め。
すぐ本を探し、これに出会った。
六草いちか著『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』。

森鷗外の『舞姫』、高3の現代文の教科書に
長年載る作品。軍医としてドイツに留学した
鷗外の自伝的小説の側面もある。

しかし、ストーリーと語句の難解さで、生徒には
不評。特に「妊娠させた女性を異国で捨ててきた」と
いうところで不愉快さを強く感じる女子生徒も多い。私も、
かつて、そうだった。

『舞姫』に限らないが、小説を教える時は、いろいろ
頭を悩ませる。作者について、また、主題などを
伝えるのは当然として、どのような形であれ、
生徒に「読んで良かった」と思ってもらえるように
心がけているから。

この、「読んで良かった」というのがなかなか大変。私の
個人的感想を押し付けてもいけないし、かといって、
「話し合いだけさせて終わり」には、絶対したくない。

そこで、新しい研究や視点の本を探し、少しでも
生徒に興味を持ってもらえるように考える。
この本は、2011年3月出版。

『舞姫』で描かれるドイツの恋人、エリスについては、
実在したのか、名前は、などさまざまに取り上げられてきた。
名前については、横浜で発行された英字新聞の、
外国船の乗船者名簿から1981年に見つけ出した
方々がいらして、「エリーゼ・ヴィーゲルト」と
明らかになっている。

著者の六草さんは、ドイツ在住のライターさん。
それらの今までの研究や近親者の回想録を
きちんと踏まえつつ、ドイツならではの資料にあたり、
また、「私がエリーゼだったら」と、同性として
思いを馳せながら、謎解きにあたられた。

「私が○○だったら…」というのは、私も、実は
使う手法。男性の研究者が多い中、女性の
作品を考える時、女性の立場で考えたら、
こういう風になるのでは、と考えてきたことが
ある。もちろん、ただのカンではなく、きちんと
説明できる話になるように心がけてはいるが。

今回、六草さんは、エリスを探し当てられている。
生年月日、生まれた土地、両親のこと。日本から
帰国後のエリスの職業までたどりついていらして、
恐らく、この女性が、エリスのモデルと見て
間違いない。

届きそうで届かない、エリスへの道。読みながら、
一緒にハラハラドキドキし、楽しかった。

そして、ドイツ在住者らしく、『舞姫』が書かれた
ドイツの当時の風俗や家屋なども紹介されて
いるのが、『舞姫』の理解を助けてくれる。

この本を読み終え、『舞姫』を教えるのが楽しみに
なった私がいる。多くの人にこの本を手にとってもらい、
『舞姫』の理解や授業が豊かになること、
エリスへの誤解が解かれることを心から願う。

♪--♪--♪--♪--♪--♪--♪-
【人気ブログランキング】参加しました。
あつかましいのですが、
よろしければクリックお願いします。

|

« 平原さんちのコンサート in 洗足学園 心、絆、そして和 | トップページ | 映画『一枚のハガキ』 運命の波に負けない!! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73691/52500557

この記事へのトラックバック一覧です: 六草いちか著『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』 小説を読み解く楽しみ:

« 平原さんちのコンサート in 洗足学園 心、絆、そして和 | トップページ | 映画『一枚のハガキ』 運命の波に負けない!! »