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2013/04/30

「ALL TOGETHER NOW」今だから、伝えたい

1985年6月15日、土曜日。この日、国立競技場で、
「ALL TOGETHER NOW」というライブが開かれた。

このライブ、当時の日本のミュージックシーンを
代表する23組のアーティストの皆さんが出演
なさった。当時まだJ-POPという言葉はなく、
「フォークから、ロック・ニューミュージックまで」
幅広いお顔ぶれだった、というのが率直な印象。

そして、イベントに出演された、松任谷由実さん
小田和正さん財津和夫さんのお三方で、
シングル「今だから」も発売された。当時は
コラボレーション、という語もなかったので、合作、
などと言っていたのだろうか。そして、当時、
小田さんは(4人での)オフコース、財津さんは
チューリップに在籍していらした(ちなみに、
現在チューリップは、40周年記念のツアー中)。

この作品のアレンジは坂本龍一さん
YMOサウンドに通じるアレンジが時代を感じる。

このイベント、当時オフコースのファンだった私は、
行きたくて行きたくてたまらなかった。
でも、行けなかった。

その日私は、入院先の病院のベッドの上にいた。
足の手術を数日前に無事終え、退院を翌日、
日曜日の午後に控えていた。

その年の春。私の足の骨に異変が発見され、
早い時期に手術をしなければならなくなった。
良性のものだが、放置するのは良くない、と、
かかりつけの先生に言われた(事実その後、
特に問題も発生していない)。

学校の勉強になるべく支障のない時期に、と
思った中学生の私は、自分の意志で6月中旬を
選んだ。その後、このイベントがあることを知った。

忘れもしない。夕方5時ごろ、病院特有の早い
夕食を待ちながら。時計と窓の外の夕暮れの
光景を見つめ、ライブのことをふと思い出し、
(今頃、ライブ、やっているんだなぁ…)
と、やるせない気持ちになったことを。この日は
梅雨真っ只中だったが、雨ではなかった。

私は、入院と手術に、この時期を選んだことを
後悔はしなかった。ただ、「このライブは、きっと、
私にとって元々、行けないものだったのだろう」と
思っていた。

そして、このライブイベントは、もちろん、その後、
再演されることもなかった。

そのライブの話を、ラジオCMで聞いたのは、今月
上旬だっただろうか。家で仕事をしつつラジオを
流していた私の耳に、ふいにその言葉は飛び込んできた。

(えっ、「ALL TOGETHER NOW」って、あの…?)
慌てて検索する。紛れもない、そこには、
「ALL TOGETHER NOW 2013」の文字がヒットしていた。

告知には、秘蔵音源が発見され、特別番組を
全国のラジオ局で放送するとある。そして、
ニッポン放送で、パブリック・リスニングのイベントも
開かれるので、応募を受け付ける、ともあった。
迷わず応募、そして、念願の当選通知をいただいた。

パブリック・リスニングは、4/29、ニッポン放送
イマジンスタジオで行なわれた。
ご出演は佐野元春さん田家秀樹さん。司会は、
くり万太郎さん(ニッポン放送アナウンサー)。

イマジンスタジオには何度か足を運んだことがある。
ニッポン放送社屋の地下にあり、階段を下りて入る。
途中に「ALL TOGETHER NOW」開催当時のポスターや
写真が展示されている。ポスター下、チケットぴあの
受付は、まだ電話のみ。しかも、都内の番号が3桁なのも
懐かしい。

客席に着くと、このライブのスポンサー、ライオンからの
お土産が置かれていた。観客の大半は、私より年上の
方の感じ。

14時、開演。くり万太郎さんが出ていらして、ごあいさつ。
この特別番組にあたっての記者会見と、当時の設営の
様子をビデオで見る。「国立競技場が初めて音楽の
イベントに使用された」というお話も出る。

そして、田家さんがご登場。この当時の背景などを
説明される。
「当時は1970年代と80年代の音楽が入れ替わる頃でした…
尾崎豊さんが大阪球場で10代で初めて球場ライブを
行なったのもこの年です」

「国連が制定した国際青年年のイベントで、国連が
若者中心にムーブメントを起こそうとしていましたね」

観客の中には、当時「ALL TOGETHER NOW」を
ご覧の方も。田家さんの呼びかけ。
「当時、皆さん、高校生や大学生でしたね」

いくつかの曲の音源が流される。イマジンスタジオは
音響が素晴らしく、聞きやすく良い音で楽しめる。
そして、会場待望の、佐野元春さんのご登場。

佐野さんの「Young Bloods」が、国際青年年の日本での
テーマソングだった。この曲の印税は、アフリカ難民
救済のチャリティーとして寄付された、というお話も出る。

佐野さんの演奏も全員で聞く。そして、佐野さんは途中で
ご退場。このトークのためだけに来て下さったことに、
心から感謝する拍手が送られる。

再び田家さんと、くりさんのステージに戻る。田家さんの
お話は尽きない。

「はっぴいえんどと、サディスティック・ミカ・バンドの
再結成があったのも忘れてはならないですよね」
はっぴいえんどは12年ぶり、ミカバンドはヴォーカルに
ユーミンを迎えたので、「サディスティック・ユミ・バンド」と
してのご登場だった。

「23組、約100名の出演メンバーを4時間半のライブで
まとめたという、スタッフの手腕が素晴らしいです。
メドレーもあったので、この規模なら、半日くらい
かかってもおかしくありません」

「今だから」を聞き、音楽界やラジオの今後の話などもあり、
2時間ほど行なわれたパブリック・リスニングはお開きになった。

当日参加できなかった私にとって、このライブを象徴する曲は、
もちろん、「今だから」。この曲のオリジナルはEPシングルで
発売され、その後デジタル化されていない
(ご関係者の皆様、ぜひ音源配信をお願いしたい)。

祝日の有楽町、平日と違う顔の街を歩きながら、「今だから」を
口ずさむ。頭の中に、さまざまなことが一気に押し寄せ、
駆け巡る。

「ALL TOGETHER NOW」に出演なさった皆さんは、日本の
若者たちのミュージックシーンを開拓し、世界中に影響を
与えられた。そして、今なお、圧倒的な存在感で活躍
なさっている。改めて、そのお力とご活躍に、感謝と
敬意を表したい。

皆さんがいらっしゃらなかったら、私たちが楽しんで、
また、心の支えにしている音楽は、きっと、存在して
いない。それを考えると、恐ろしい。音楽のない生活など、
途方もない暗黒の中にいることとしか思えない。

皆さんの曲は、テレビで楽しむこともあるが、ラジオから
流れてくることも大きな存在になっている。小学校
高学年で父にラジオを買ってもらい、自分の好みで
ラジオを聞き続けてきた。その直後、5人の最後の
時期のオフコースに出会ったのが、今につながる
道の第一歩になっている。

部屋にテレビのある友人も多かったが、私はラジカセや
ミニコンポがあれば、それで充分だった。入院の際も、
ベッド脇に、小さなラジカセを持ち込んだ。

だから、オフコースも、その後好きになった稲垣潤一さん
はじめとするアーティストの皆さんも、みんな、最初の
出会いはラジオだった。ラジオにリクエストや応援の
ハガキを書き、どうしたら採用していただけるか、と
考えることは、文章を書く上で、軸のひとつになった。

曲だけでなく、アーティストの皆さんは、ラジオ番組
パーソナリティとしてメッセージを発して下さることが
あるのも、ファンとしてはありがたいことだった。

今も、私の日常にはラジオは欠かせない。ラジオは
日常に溶け込んでいる一方で、自分が注意して
聞けば、多くの大事な情報も流していると気づく。

電波の届きにくい場所では、radikoも強い味方。
通勤電車の中だってラジオが楽しめるのは、
ありがたい。

もちろん、災害時には、有益な情報源になる。
3.11の時も、私は映像を見続けることより、
ラジオで情報を得、twitterで発信することを選んだ。

そして、そのラジオから流れる曲には、昔の作品でも、
今なおメッセージを持って光を放ち続けるものが多く
ある。「Young Bloods」は、当時NHKでもPVの一部が
よく放送され、見た。

強靭な意志で自由な世界を生き抜いていく…
歌詞が伝えるメッセージは、思春期の私に、
強い影響を与えた。そして、今もこの曲は私を
支える大事な存在のひとつとなっている。

思春期でもがき、悩むことが日常の生徒たちに、
「おすすめの曲ありますか」と言われたら、この曲も
リストに加えたい。

また、このライブから28年間の人生に思いを
馳せる。たくさんの楽しい思い出、同じくらいの
悲しみ、また、挫折と、再び立ち上がった経験。

そして、家族や親戚とのできごと、多くの友人、
知人との関わり…これらがすべて、今の私を
作る土台になっているとしみじみ感じる。
その時々で輝いていたからこそ、今も、頑張れる。

そう、だから。今だから、伝えたい。

「今まで築かれた音楽という財産に
感謝しながら、これを通じて、楽しさや
悲しみを分かち合い、また前向きに
生きていくエネルギーを生み出したい」

と。音楽は、多くの壁を飛び越え、良さを
理解しあえるものだから。

28年前の「ALL TOGETHER NOW」を
聞くことは、きっと、そのきっかけのひとつに
なるだろう。

特別番組「ALL TOGETHER NOW 2013」は、
5/4と5/5に、全国のFM・AMラジオ局で放送される。
公式サイトで各局の日程が確認できる。ご出演の
皆さんからのメッセージも放送されるもよう。

パーソナリティは、次の皆さん。
AM:藤井フミヤさん坂本美雨さん(ゲスト・松任谷由実さん)
FM:星野源さん(ゲスト・松任谷由実さん、佐野元春さん)

私も、両方の番組を聞くのを、楽しみにしている。
28年前の「ALL TOGETHER NOW」、そして、今回の
特別番組に関わって下さった皆さんに、心からの
感謝を捧げたい。

一生懸命生きていると、いいことは、
やってくる。

あの日見られなかったライブの音に出会えた
嬉しさと感慨が、私を今、包んでいる。

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コメント

わたしもFMでこの告知を聞いて
「えっ!?もしかしてあの?」と、
とても懐かしい気持ちになりました。

たしかブレバタも出ていたんですよね。

あと元春さんと桑田さんの共演もあった
ように覚えています。

映像ソフトで出してほしいですねぇhappy01

投稿: にでも | 2013/05/03 09:56

>にでも様

ご無沙汰しております。
コメントありがとうございます!

覚えておいでの方が
いらっしゃると嬉しいです。

書かれたこと、すべて合っています、
さすがです!!
(^0^)
検索なさると、フィナーレで全員が
出演なさった、テーマ曲もヒットすると
思います。

いよいよこの週末に放送が迫りました、
楽しみです!!

またいつでもお立ち寄りいただけましたら
嬉しいです。


投稿: つきのみどり | 2013/05/03 18:31

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