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2014/07/12

映画『革命の子どもたち』 思索という武器 

公開間もない映画『革命の子どもたち』を、
見てきた。(一部ネタバレあり)

1960年代後半から70年代にかけ、西ドイツ(当時)の
ウルリケ・マインホフと、日本の重信房子という活動家が
いた。当時の両国では、ベトナム戦争の激化を受け、
若者を中心に戦時世代への反発が強かった。

若者たちの中には、徒党を組み、資本主義を批判して
共産主義に傾倒、爆破テロや飛行機ハイジャックなどの
過激な活動で強行に意見を通そうとする者が出てきた。
マインホフと重信房子はそれぞれ、ドイツ赤軍・日本赤軍を
結成し、闘争を続けていた。

このような手法がもちろん許されるはずもなく、1976年に
マインホフは獄中で自殺、重信房子は2000年に日本で
逮捕され、今は服役中。

彼女たちにはそれぞれ娘がいる。その娘たちや、友人、
ともに活動した者たちへのインタビューを柱に、当時の
映像を織り込んで映画は進む。監督はアイルランド人の
シェーン・オサリバン氏。

なぜ彼女たちは過激な行動に走るようになったのか。
それには必然ともいえる流れがあった。映画では
きちんとその説明がなされている。マインホフの場合、
医療での問題がそこに介在している。50年前の
医療水準を思うと、やるせない思いを抱いた。

もちろん、今のようにWEBで意見を述べられる時代では
なかったとは言え、暴力で主張を通そうとする手段は、私は
絶対に支持できない。

でも、彼らの子どもたちには、罪はない。しかし、母親が
テロリスト、ということにより、彼らは明るく穏やかな
子どもらしい生活、とは大きくかけ離れた日常を
送らざるをえない。

重信房子の娘は、重信メイさん。彼女は28年間無国籍で
過ごした。逮捕されて間もなく、重信房子と接見した
弁護士は、真っ先に
「娘の国籍を何とかしてほしい」
という趣旨の話を打ち明けられた、と回想している。

メイさん自身も、「一番安定していたのは大学時代」と
言う。それまでは住むところも学校も安定しない日々が
長かったことを、暗に物語る。名前もプロフィールも変え、
過ごす日々。彼女が悪いことをしたわけではないのに。

テロリストの母、という存在を背負い、その母と共に、
運命の荒波に翻弄され続けた娘たちを見ていて、
「ものごとを深く考える」ことが浮かび上がってきた。

母に、「勉強しなさい」と言われて育ったメイさん。
彼女は学び続け、あれこれ思索することで、自分の
道を切り開こうとされてきたのだろう。彼女は日本
国籍取得後、大学で博士号を取得している。

マインホフの娘さんは、母マインホフが資本主義の
教育を子どもに受けさせたくないと考え、パレスチナへ
送るために娘をいったんシチリアに連れて行った。

その後間もなく、父(既にマインホフと離婚していた)が
娘を連れ戻したので、マインホフの計画は頓挫した。
彼女の手法は正しくなかったかもしれないが、少なくとも、
娘に「(自分の考える)理想の教育を施したい」という
気持ちがあったことがうかがえる。

本や新聞を読む、大人の話を聞く、自分で調べる…
どんな物事に対しても、その年齢なりに考えて
いくことは、とても大事。Webで検索し、何でも
分かった気になれる時代だからこそ、じっくり
調べたり、意見を交わしあったりして、深く考える
ことは、大きな価値を持つ。じっくり取り組んだことは、
体に深くしみ込み、簡単には出て行かない。

そして、そこから知識が得られるのはもちろん、
次の希望のきっかけだったり、生きるヒントが
見つかることがある。映画で取り上げられた娘たちは、
彼女たちなりにもがき、苦しみながら、今のような
日々を手に入れるよう努力して来たのだろう。

マインホフの娘さんが、「自分も娘を持って、母の気持ちが
理解できるようになった」と語ったことが、救いに感じられた。

誰も皆、その親から生まれてきたことには意味があると私は
思っている。映画を通して、その意味を改めて考えられて、
良かった。

この作品、1960年代後半から70年代当時を知っていても
知らなくても、多くの方に見ていただきたい。

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