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2014/08/17

向いているから、続けられる

今年の夏の甲子園の開幕試合、試合後、
思わぬところで舌戦が巻き起こった。

開幕試合で、春のセンバツの優勝校、京都代表の
龍谷大平安高校を破ったのは、埼玉県代表の
春日部共栄高校。このチームの女子マネージャーが、
「今までおにぎりを2万個握ってきた甲斐があった」と、
あるスポーツ新聞に紹介されたことで、ネット上で
大変な騒ぎになった。

私は騒ぎになってから、元の記事を読んだ。でも、
正直言って、
「うーん、この生徒は自分で選んで、一生懸命
人生を生きているだけなのに…」
という気持ちしか思い浮かばなかった。思いがけない
ところで、こんなに騒ぎになってしまって、一高校生の
彼女が気の毒だとも感じた。

記事を見ると、春日部共栄高校のマネージャーは、
最初複数いた同学年の仲間がどんどん退部してしまい、
今は3年生1人、後輩と一緒に役目を果たしていること、
また、おにぎり作りなどのサポートが大変なので、
難関大学受験クラスから普通クラスに転籍した、と
いったことが書かれていた。

共学校でも、女子マネージャーを認めるかどうかは、
部活顧問や学校の方針によって分かれている。
女子マネージャーを置かない場合、男子マネージャーを
置く、また、控え選手たちがサポートの役目を
果たす、などが一般的ではないかと思う。

女子を見ていると、その競技が好きでも、学校に
女子の部活がない(たとえば女子サッカー部のある
中・高はまだまだ限られる)、選手として続けるには
ケガなどの経験があり難しいが、その競技には
関わりたい、などの理由で、マネージャーを選ぶ
生徒がいる。

記事では、彼女は普通クラスに転籍した、という
表現だったので、自分から申し出たのだろう、とも
理解した。最近の高校の難関大学受験クラスは、
公・私立を問わず、合格実績を出させるため、
本当に毎日の授業が厳しい。朝や放課後の補習、
また、英単語などの小テストも毎日のように実施される。

学校の休暇中の講習も長期にわたり、予備校の
模試も受けねばならず、勉強一色の高校生活を
送らねばならない。この上更に予備校に通う者も
珍しくない(個人的には、勉強漬けだけにする
ことには疑問を感じるが…)。

だから、難関大学受験クラスは、甲子園出場を
目指す私学の野球部の女子マネージャーと
両立するには無理があるだろう(なお、一般的には、
難関大学受験クラスにふさわしくない成績を
取り続ければ、学校が転籍を言い渡す)。

おにぎり作りを母親たちに交代制でさせれば良い、と
いう意見もあるかもしれない。すると、仕事を持つ
母親には過度な負担となるし、専業主婦の母親たちとの
間に対立が生まれることにもつながりかねない。

業者に発注すべき、という声も見た。しかしそれは
学校で炊飯する以上の資金が必要となり、結局、
部費となって保護者に負担がはね返る。強豪の
私立校で運動部に加入していると、練習試合や
合宿の遠征費、用具代などで、もともとかなりの
負担がかかっている。生徒本人はアルバイトも
できないから、家計への負担は大変なものだと思う。

なお、マネージャーにこのようなことはさせず、
自宅から○個おにぎりを持ってくるように、と
指導する学校・部活もあるだろう。これも、
生徒本人は疲れてできないから、保護者や
きょうだいがおにぎりを作ることになる(今は
科学的見解からの指導が進み、毎日どの程度の
量で、また、どういった形で栄養バランスの取れた
食事をすること、とか、プロテインを摂取するように、
など、細かい指示が出るのが当たり前になっている)。

だから、女子に限定すべき、と言うつもりは
なく、男子だって良いと思うが、このような場合、
誰かが裏方的仕事を引き受ける必要が
発生してくる
、と感じる。

女子マネージャーに限らず、生徒たちを入学から
卒業まで見ていると、3年間、引退までこのような
裏方仕事が続けられるのは、「本当にそういう
サポート役が好きで、向いている」子たちばかりだと
感じる。競技へのあこがれだけでは、決して続かない。
あまりの仕事の大変さに、生徒が退部するケースを、
多く見る。

少し前も、勤務先で、ある部活の女子マネージャー
3年生が1人しかいないことに気づき、その生徒に、
「○○部のマネージャー、今、3年生は□□さんだけ
なのね。えらいわねぇ」
と声をかけた。彼女が1年生の時は、他にも同学年の
マネージャーがいたのを覚えていたから。

彼女は、はにかみつつも、
「ありがとうございます」
そう、答えた。

そして、生徒たちを見ていると、マネージャーを続けた
者の中から、「自分は人の世話をすることが好き」と、
保育や看護の仕事につながる道を選ぶ者が多く出ると
気づかされる。学生時代に懸命に取り組んだことで、
進路につながるきっかけに気づくのだから、良いこと
ではないか、と率直に感じる。

春日部共栄高校は、今日、試合で敗れた。選手たちと
同じように、女子マネージャーの高校3年生の夏も、
終わった。そして、選手たちと同じように、彼女も
試合後、泣いていた。これで、彼女も選手たちと
同じように、女子マネージャーを引退する。

彼女だけでなく、裏方仕事を終えた、生徒・学生さん
たちに伝えたい。

「あなたたちの頑張りとサポートで、輝けた人たちが
たくさんいましたね。どうもご苦労様でした。
そのサポート力は、学校だけでなく、きっと、
今後の社会での生活でも、生かせるはずです。

だから、今度はそのエネルギーを自分のために
向けて、一生懸命努力してください。あなたに
支えられた人たちは、きっと、全力であなたを
応援してくれますよ。」

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