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2015/03/23

渋谷・表参道WOMEN'S RUN マラソンデビュー! 新しい私を作る

3/22に行われた第5回渋谷・表参道WOMEN’S RUNで、
マラソンデビューを果たした。

ジムでの運動は10年以上続けている私。だいぶ前から
マラソンブームなのは、もちろん分かっていた。でも、
今までエントリーしようとしても、またたく間に定員
オーバーになったりして、機会に恵まれなかった。

そして、何より、それ以前に出場をためらう、最大の
心理的理由があった。それは、「高校卒業までに、
2回、マラソン大会で死者が出た場面に遭遇した」
こと。そんな人はそうそういないと思うのだが…

もちろん2回ともニュース沙汰になった。目の前で
経験し、翌日また新聞で見る時の、
(やっぱり載っている…)
記事をなぞりながら噛みしめる、何ともいえない
悲しさは、今も忘れない。

どちらも練習をしていた方だったので衝撃は大きく、
(マラソン大会とは、時に亡くなる方が出る)
という刷り込みが私の中で出来上がってしまった。

こうなると、3度目が起きるのも、自分が3度目に
なるのも恐ろしいという気持ちしか湧かない。
「二度あることは三度ある」ということわざが、
重くのしかかる。

だから、長いこと、マラソン大会とは、
(特別に練習している方が出るもの、私には関係ない)
という存在だった。

その気持ちに変化が起きたのは、主にふたつの理由。
ひとつは、医療の発達で、AEDなど「万一の事態を
救える機器が普及した」こと。数年前、マラソン大会中に
心肺停止に陥ったタレントさんが助かったことは、
大きな驚きだった。
(今は助かるんだ…)

AEDの使い方は私も講習を受けたことがあり、一応
知っている。その後医療機関に迅速に運ばねば
ならないのだが、マラソン大会で死なずに済んだ、と
いう結果は、私の心に、明るく強い光をもたらした。

もうひとつは、「トレーニング方法やグッズの発達」。
初心者向けの効果的トレーニング方法が広く
伝えられるようになった。また、足の疲れを減らす
サポートタイツなどが発売され、取り組みやすい
環境がさまざまに整えられてきた、と思うことが
多くなった。

そんな気持ちになっていた、去年の秋、私は
ジムでのランニング中に足を痛めた。通って
いたジムが閉店して他へ移り、スタッフさんに
アドバイスをもらいにくい環境の中で起こった
ことだった。

骨に異常はないと思い、ふとひらめき、整骨院へ。
そこでさまざまにアドバイスをいただく。
(こんな環境なら、マラソンにチャレンジできる
かもしれない)
そう思っていた矢先、渋谷・表参道WOMEN’S RUNの
お知らせを見た。

実は昨年、この大会に申し込み、落選した。もっとも
昨年は冬に体調を崩して、当たっても走れなかったから、
それで良かったのだが。

この大会は「デビュー枠」が設けられている。マラソン
大会に出たことのない者、3年以上間が空いた者が対象。
(当たったら、チャレンジできる、というお告げだわ)
迷わずエントリー。
そして、当選の通知を昨年末に受け取った。

ジム以外で走ることが少なかった私だけれど、さすがに
そうは言っていられない。2月に入り、毎週必ず外で
走る日を作った。サポートタイツも、高機能のものを
買い足す。靴も買い、少しずつ足になじませる。
整骨院にも通い、体幹トレーニング、ストレッチなどを
家でも毎日行うようになる。

ジムでも、渋谷の坂に負けないよう、トレッドミル
(ランニングマシン)で、きつい傾斜を上り下りする
メニューでトレーニングした。

大会デビューランナー向けの練習会にも行き、
ここでもまた、アドバイスをいただいた。
「本番までには2回、本番と同じ10kmを走れば
大丈夫です」
「2回で良いんですね、良かった!もっと走らないと
いけないのかな、と思っていました」
3月に入って、それもこなした。

こうして、「やりきった、大丈夫!」という、すがすがしい
気持ちで、デビューの朝に向け、前夜、穏やかに眠りに
ついた。

ちょうど今年の3/22は、NHKがラジオ放送を開始
してからの90周年の放送記念日。NHKは3/19から
「90時間ラジオ」と銘打ち、特番を組んでいた。

そのひとつで、「Run Beat!」という番組が放送されると、
事前に知らされていた。これは、BS-1で放送されている
「ラン×スマ」とのコラボで、なんと、当日は有森裕子さん
ご来場だと聞いていた。
(有森さんが来てくださる!)

言わずと知れた、バルセロナ・アトランタ両五輪の
女子マラソンメダリスト。有森さんに同じ会場で
応援してもらえる、というのは、何だか心強かった。

何より、ラジオフリークの私としては、マラソン
デビューをラジオで中継してくださるのは、
この上なく嬉しいことだった。

ところが。この日の朝、タイマーで私を起こした
ラジオは、やはり特番で、1960年の浅沼稲治郎・
社会党委員長の刺殺事件の瞬間の音源を
流していた。新聞でも見たことがあり、母からも
聞いたことがある、衝撃的事件。

(何で、よりによってこんな日に、こんな事件の
録音で起こされるなんて…)
鉛でできたような重いカーテンが、私の心を覆い尽くす。
支度をしつつも、心はすっきりしない。

でも、いつまでもそんな気持ちでいるわけにもいかない。
心を切り替え、予定より遅くなってしまったが、家を出た。

代々木公園目指し、原宿駅で改札を出る。レースウエアの
女性にやっと出会い、少し安心する。

会場に着くと、メインステージにいる、思いがけない方が
私の視界に飛び込んできた。
(…荒川静香さん?!)

司会の浅利そのみさんから、入賞者のプレゼンターを
務めてくださると、紹介がある。

もちろん、トリノ五輪女子フィギュアスケート金メダリスト。
(メダリストがふたりも?!)
マラソンデビューは、当たり前だが、生涯でたった一度。
そのデビューに、ふたりもメダリストが来てくださった
なんて、こんな幸せがあるだろうか!

鉛は吹き飛び、しっかりと気合が入り、スタート地点についた。
タイム別にランナーは整列。そして、なんと、私たち
デビューランナーのスターターは…荒川さん!!
(ありがとうございます!!)

笑顔で手を振りつつ、荒川さん、そして、特設ステージの
有森さんの前を通過する。おふたりのキラキラ輝く
笑顔に励まされ、勇気があふれる。極限まで努力なさり、
世界に名だたる存在になられたおふたりに見送られて
走り始めた私は、
(きっと、ずっと、今後の人生、自分のペースでマラソンを
楽しんで、ということ)
まだゴールもしていないのに、そう、強く感じた。

練習会で言われた通り、最初は抑え気味に走る。ただし、
下り坂では大きなストライドで周りを抜いていく。
沿道の応援があまりにも多く、驚く。
(沿道の応援が嬉しいって、こういうこと…)
市民マラソン大会でのランナーの言葉が、胸をよぎる。

表参道に出る。車は完全に通行止め。ここでスピードアップ。
スマホで走りながら風景を撮る人に気づき、真似してみる。

Blog150323a

出場は約5,000人、そのうちデビューランナーが約1,150人。
コスプレランナーも少なく、黙々と都会を駆け抜ける
風景の中に、自分がいる不思議さも湧く。

原宿駅まで戻り、普段は走れない、明治神宮の杜へ。
木が高く生い茂り、都会の景物が遮断された空間。
ひたすら走りつつ、周囲を見て、抜けるところで人を抜く。

視界が急に開け、新宿の高層ビル群が見える。何ものにも
侵されない神聖な場から、一気に現実の俗世間に
戻った気分になり、同時に、
(あと少し!)
自分を奮い立たせ、都会の風景の中に、再び飛び込む。

それにしても、分かっていたけれど、アップダウンが多い。
上りは歩幅を小さめに、あまり遠くを見ずに。天気も良く、
暑いので、給水も3回、しっかりと(予定より多く設けられた
気がする)。

こうして、途中、足を止めることもなく、ほぼ目標どおりの
タイム、約60分でゴールまでたどり着いた。

初めて走ってみて感じたのは、大会関係者はもちろん、
沿道の応援やボランティアの人の多さ。見ず知らずの
ランナーに声をかけてくださるのは、とてもありがたかった。

また、お土産も多くいただいた。フルーツ、入浴剤、
グリーンスムージー…好きなものばかりで嬉しかった。

完走後、この日で閉館する東急プラザに出向いて、
お昼を食べ、買い物をした。

Blog150323b

この日私が出歩いた場所は、以前、
よく利用したところが多い。東急プラザは
駅前の再開発で取り壊される。

マラソンランナーとして、新しい私が街を駆け抜け、
風景を見つめた。そして、お世話になった場所に、
お礼を告げた。
(新しい私を、この先、作っていける)
そんな新しい予感も芽生える。

帰宅して、ラジオを見て、気づいた。
(朝、浅沼委員長の死の実況を聞いたので、
きっと、どなたも死なずに済んだのだろう…)
「三度目の正直」、ほっとした。

関係の皆さん、また、応援、サポートしてくださった
皆さんに、改めてお礼を申し上げたい。
これからも、無理せず、自分らしく、走り続けたい。

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