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2015/05/19

五月明治座大歌舞伎 劇場ごとの醍醐味

今月の明治座公演は、「五月花形明治座歌舞伎」。

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思いがけず見に行けることになり、楽しみに出かけた。
明治座に行くのは初めて、下町の風情が残る
甘酒横丁を歩くのも楽しい。ただ、ここは中央区、
少し遠くに目をやればマンションも多く、自転車や
ベビーカーで近くのデパートに行く、子連れ世代も
目立つ、変わりつつある街。

通りには安産の神様・水天宮が近く、マタニティ
ウエアもあるが、年配女性向けの品揃えの婦人服店が
目立つ。

明治座は約20年前に近代的ビルの劇場となっている。
でも、例えば歌舞伎座に比べれば小ぢんまりしている、
見やすい劇場。

私が見たのは昼の部。今月は、歌舞伎十八番のうちの
一つ、「矢の根」と、「男の花道」。「矢の根」は市川右近さんの
凛々しく、どこかユーモアも漂う演技に、自然と笑顔が出る。

「男の花道」は、長谷川一夫の映画で知られる。その後
歌舞伎座でも長谷川さんが上演、大変ヒットしたという。
坂田藤十郎さんが今からおよそ50年前、映画でも
演じられたこともある。その後大川橋蔵さんが
舞台でも演じられたこともあったが、途絶えて
いたのを、藤十郎さんが再び歌舞伎で上演。

それをご覧になった市川猿之助さんが、2010年に
上演なさる。今回は猿之助さん主演の2回目。

今回、猿之助さんを拝見するのも楽しみだったけれど、
市川中車さんのご出演に期待して出かけた。
明治座での歌舞伎作品へのご出演は、初だという。

猿之助さん演じるのは、名女形・加賀屋歌右衛門。
押しも押されぬ上方の人気役者が、満を持して
江戸へ赴く。しかし実は眼病を患っていて、それを
見抜いた医師・土生玄碩(はぶげんせき)に命を委ね、
治療を受ける。玄碩を演じるのは、中車さん。

歌右衛門が眼病に悩む時、死を覚悟しているからか、
この世とあの世の境にいるような儚い雰囲気に息を呑む。
好対照で、信念と医学への信頼を、言動、たたずまいで
感じさせる中車さん。ふたりが男の熱い信頼と友情で
結ばれていく…。

今回の上演にあたり、玄碩が眼病を見抜く場面を
加えていることもあり、分かりやすい展開で良かった。

他に、この話の良さは、「櫓のお七」が劇中劇で
見られることにもある。目もすっかり癒え、儚さはなく、
名実共に当代きっての名女形として活躍する
「歌右衛門」の踊りに、前半とは違った意味で息を呑み、
ただただ見とれる。前半では目の治った歌右衛門と
一緒に富士を、後半ではお七の踊りに恋の情念を、
客席は見た。

江戸の芝居小屋を思わせる演出も、明治座ならではで、
面白かった。

片岡愛之助さんの悪役侍も見ていて面白く、今月の
組み合わせは素晴らしいと、心から堪能した。

私は数年歌舞伎を見る機会がなかったが、その間も
歌舞伎の話題はよく目にしていた。「東京新聞」
「家庭画報」の記事がその中心。

現在発売中の「家庭画報」6月号で、猿之助さんと
愛之助さんの対談が掲載されている。読んでいて
「なるほど!」と思ったのが、「この演目は
中村壱太郎さんがいずれ受け継いでいく」という
主旨の話。藤十郎さんのお孫さん、将来が楽しみな女形。
(そう、きっと10年くらい先に観られる!)
新しい楽しみも、芽生えた。

歌舞伎座より早く、昼の部は午後3時前に幕がはねる。
通りは芝居後の高揚した気分で服を手に取る婦人で
賑わう。甘味を前に、芝居の話に花を咲かせる人たちも
そこかしこに。

(街のたたずまいも含めて、これが明治座の芝居の
醍醐味なのね)
初めての明治座、歴史に思いを馳せつつ、心ゆくまで
今この瞬間を堪能し、未来に思いを馳せたひと時だった。

26日が千穐楽、ぜひ、多くの方にご覧いただきたい。

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